この記事は、以下のような方にオススメです。
- ケアマネジャーの資格更新研修について知りたい
- どの研修を受けるべき?もし更新しないとどうなる?
- 更新研修での「シートの記入例」を教えてほしい
ケアマネジャーとして働き続けるには、資格更新は避けては通れません。
更新が遅れると、ケアマネジャーとして働けなくなるため、注意が必要です。
この記事では、ケアマネジャーの資格更新研修の概要から受講する方法まで分かりやすく解説します。
実際に更新研修で扱われるシートへの記入例も紹介していますので、ぜひご覧ください。
ケアマネジャーの資格更新研修とは?
ケアマネジャーは、5年に1度の資格更新が義務付けられています。
そのため定期的に、資格更新のための研修を受ける必要があるのです。
目的は、急速に変化する介護制度や利用者のニーズに対応し続けることにあります。
基礎的な理念である自立支援・公正中立の原則・守秘義務などを再確認する機会です。
更新しないとどうなる?
ケアマネジャーの資格更新を行わなかった場合、その資格は失効してしまいます。
失効している間は、ケアマネジャーとしての職務を続けることができません。
しかし、資格の登録自体が無くなるわけではないため、「今後はケアマネジャーとして働かない」という方は更新しなくても大丈夫です。
もし、資格を更新したくなった場合は、54時間の再研修を受けることで、資格が有効になります。
受けるべき研修の選び方
以下では、「どの研修を受けるべきか分からない」と悩む方に分かりやすく研修の種類をお伝えします。
以下の3つからあなたの状況に合った研修を選び、適切に資格の更新研修を受けましょう。
- 実務経験がない
- 実務経験がある(初回更新)
- 実向経験がある(2回目以降)
1. 実務経験がない
- ケアマネとして今後働いていきたい
→54時間の更新研修(実務未経験者用)を受ける必要があります。 - ケアマネとして働く意思がない
→資格更新の必要はありません。
2. 実務経験がある(初回更新)
- 実務経験が6か月未満
→88時間の更新研修を受ける必要があります。 - 実務経験が6か月以上3年未満
→56時間の専門研修Ⅰと32時間の更新研修を受ける必要があります。 - 実務経験が3年以上
→56時間の専門研修Ⅰ(56時間)と32時間の専門研修Ⅱを受ける必要があります。
3. 実務経験がある(2回目以降の更新)
- 前回の更新時に実務未経験者用の研修を受けた
→以下のいずれかを受ける必要があります。
・56時間の専門研修Ⅰと32時間の専門研修Ⅱ
・56時間の専門研修Ⅰと32時間の更新研修
・88時間の更新研修 - 前回更新時に88時間の研修を修了している
→以下のいずれかを受ける必要があります。
・32時間の専門研修Ⅱ
・32時間の更新研修 - 前回更新時に32時間の研修を修了している
→以下のいずれかを受ける必要があります。
・32時間の専門研修Ⅱ
・32時間の更新研修
更新研修を受けるにあたって
ここからは、実際に更新研修を受ける際の流れや注意点について解説します。
具体的に紹介するのは、以下の2つです。
- 更新研修の申し込み方法
- ケアマネ資格の更新料
更新研修の申し込み方法
ケアマネジャーの更新研修は、基本的に登録している都道府県で受けます。
各都道府県によって、提出すべき書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
一般的に、申し込み時には以下のような書類が求められます。
- 資格証のコピー
- 実務経験を証明する書類
- 研修料の振込証明書
ケアマネ資格の更新料
ケアマネジャーの資格更新にかかる費用は、都道府県や実施団体によって異なるため、正確な金額は公式ページで確認するのが最も確実です。
一般的に、数万円程度に設定されており、受講する研修の種類や時間数によって金額が変わります。
更新料には、研修の受講費だけでなく、テキスト代やその他の関連経費が含まれることが多いです。
なお、研修費用を一部の自治体や団体では補助金で提供していることがあります。
数万円を自腹で支払うよりも節約になりますので、ぜひ検討してみてください。
【記入例】更新研修で求められるシートの書き方
事前課題の記入例
最近、歩くのが以前よりもつらくなり、外に出るのが怖いと感じるようになった。毎日、娘が買い物や家事を手伝ってくれているけれど、自分でできることが少なくなってしまっているのが辛い。(本人)
家族としては、母には無理をせず安全に生活してほしいと思っているが、家の中で閉じこもるばかりでは心の健康が心配。デイサービスに通うことで他の人と交流し、楽しみを持ちながら過ごしてほしい。(家族)
最近、夜に眠れなくなってしまい、不安な時間が増えている。自分が今どこにいるのか分からなくなる時があり、パニックになりそうだ。家族に迷惑をかけていることが申し訳なく、どうすれば良いのか分からない。(本人)
父には夜も安心して過ごしてもらいたいが、自分たちも昼夜の見守りが続き疲れている。訪問看護や夜間のケアサービスを利用しながら、父の安心と家族の負担軽減を両立させたい。(家族)
最近、物を探すことが多くなり、簡単なことでもすぐに忘れてしまうことが増えた。家族に何度も同じことを聞くたびに申し訳なく感じているが、自分でどうにかできなくて困っている。(本人)
母が少しでも自立した生活を続けられるように、日常生活のサポートを工夫しているが、限界を感じることもある。地域の支援を活用しながら、母ができるだけ自分のペースで過ごせるようにしてあげたい。(家族)
事例(演習)シートの記入例
◾️健康状態・利用者の生活機能と背景因子
利用者は高血圧を患い、最近は歩行が不安定になり外出を怖がる傾向がある。また、年齢による筋力低下も見られ、体力が以前より著しく低下している。現在、日常的な家事は娘に頼っており、自分でできることが限られてきている。
◾️ケアマネジャーや介護職員・主治医など専門職の意見
利用者が自宅で自立した生活をできる限り続けられるよう、デイサービスの利用を推奨する。また、訪問リハビリを導入し、筋力低下の予防と歩行安定性を向上させる支援を行うことが必要。高血圧については、主治医と連携し、薬の服薬の確認と日常の血圧管理を徹底して行う。
◾️今後の考えられる可能性・リスクと改善の可能性の評価
悪化リスク:外出への不安が続くと、活動量がさらに減り、筋力低下が加速する恐れがある。また、孤立感が強まることで、心理的な負担が増し、うつ症状のリスクも考えられる。家事の負担を娘に依存し続けることで、家族の負担も増大する可能性がある。
改善可能性:デイサービスの利用によって他者との交流を持つことができ、孤立感を緩和し、社会参加への意欲が高まることが期待される。訪問リハビリによって筋力維持が図られ、自信を取り戻すことで外出への意欲も回復する可能性がある。
◾️「生活のニーズ」(本人のことばで代弁して表現)
少しでも安心して外に出られるようになりたい。娘の負担を減らし、家事も自分でできることを増やしたい。
◾️活動
現状:利用者は主に家の中で過ごしており、必要な物は娘が代わりに買い物などを行っている。週に数回、娘と一緒に短い散歩に出るが、それも最近は困難に感じている。
今後の計画:週1回のデイサービスの利用を開始し、外出と他者との交流機会を増やす。また、訪問リハビリのサポートを通じて、自宅での簡単な運動を習慣化し、筋力維持を目指す。
◾️参加・役割
現状:社会的な交流はほとんどなく、家族との交流に限られている。自分自身が家族の負担になっていると感じ、活動への意欲が低下している。
今後の計画:デイサービスのプログラムに参加することで、他の利用者と共に過ごす時間を持ち、地域社会での役割を再び感じることを目指す。
◾️環境因子
環境の支援要因:娘が積極的にサポートしていることが大きな強みであり、訪問リハビリやデイサービスなど外部の支援も活用することで、より包括的なサポート体制を整えられる。
課題:家族に負担が集中しているため、負担の分散が必要。特に娘の負担軽減のため、訪問介護や地域支援の活用を検討する。周囲の協力を得ることで、家族全体の負担を軽減できる。
◾️個人因子・本人の強み
家族に対する愛情と、日常生活で自分ができることを増やしたいという強い意欲がある。この意欲を維持し、目標に向けてサポートすることで、生活の質を向上させる可能性が高い。
◾️利用者の目標の設定
毎週1回デイサービスに通い、他の利用者と交流することを通じて社会的なつながりを強める。これにより孤立感を軽減し、心理的安定を図る。
訪問リハビリの指導を受け、自宅で実施できる簡単な運動を習慣化する。これにより、外出への不安を少しずつ克服し、自信を持てるようにする。
週に1回娘と一緒に外出することで、安全な環境での外出機会を増やし、心身の健康維持と精神的な安心感を得ることを目指す。
高血圧管理のため、毎日決められた時間に正確に薬を服用する。これにより血圧を安定させ、身体的なリスクを減らす。
娘や家族との会話や一緒に過ごす時間を楽しむことで、家族関係を強化し、生活の満足感を高める。
研修記録シートへ振り返りの記入例
今回の研修で、利用者一人ひとりのニーズを深く掘り下げることの重要性を再確認しました。特に、「利用者の声をケアプランにどう反映させるか」というセッションで、自分自身が十分に聞けていなかった利用者の本音に気付く機会を得ました。今後は、利用者の言葉の裏に隠れた不安や希望をより丁寧に拾い上げるためのコミュニケーションを強化し、ケアプランに反映していきたいと思います。利用者の「自立したい」という思いを尊重しながら支援を続けていく意識を持ちます。
研修中に他職種との連携に関するディスカッションがあり、チームとしてのケアの重要性を実感しました。これまで、医療職や介護職との連携がうまくいかないことがありましたが、各職種が何を重視し、どのような情報を求めているかを理解することが連携の質を向上させる鍵だと分かりました。特に、多職種間での情報共有の不足がケアの質に影響していることを痛感したため、これからは他職種との定期的なミーティングを行い、より円滑な情報共有を目指します。
研修を通じて、自分自身のケアマネジメントのスキルについて再確認する良い機会となりました。特に、事例検討の際、自分の考え方に偏りがあったことに気づきました。事例に対して「こうすべき」という先入観が強かった点を反省し、多様な視点でアプローチする重要性を理解しました。今後は、自分だけの判断に固執せず、他のケアマネや専門職の意見を取り入れながら柔軟に対応していくことを心がけ、利用者にとってより良いケアプランを提供したいと考えています。
まとめ
この記事では、ケアマネジャーの資格更新研修について解説しました。
ケアマネジャーの資格は、5年に1度の更新が義務付けられています。
更新しない場合は、資格が失効してしまい、ケアマネジャーの業務を続けることができません。
受けるべき研修の種類は、年数や今後もケアマネを続けるかに応じて判断します。
申し込み方法や更新料は、都道府県別に少しずつ異なりますので、公式ページを確認するのが最も正確です。
実際の更新研修にて記入する必要があるシートの記入例も紹介しました。
- 事例課題の記入例
- 事例(演習)シートの記入例
- 研修記録シートへ振り返りの記入例
以下の記事では、ケアマネジャーの事例検討会の様式テンプレートを配布していますので、よければご活用ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。