ボタン1つで高齢者を抱え上げる移乗サポートロボット「Hug」

Hugは、以下のような悩みを持つ方にオススメです。

  • 移乗介助による身体的・精神的な負担に悩んでいる介護者
  • 人手不足の中、スタッフ2人がかりで移乗介助を行っている施設
  • 介護の経験が浅い方でも簡単に操作できる製品をお探しの方
Hugとは、どんな製品?

Hugとは、1人で立ち上がるのが難しい方の移乗をサポートするロボットです。

介護現場では、移乗介助による身体的な負担に悩む方は少なくありません。
Hugは在宅や介護施設などで使用でき、ベッドと車いす間などでの移乗や立位保持をサポートします。

また、「移乗用のリフトは既に導入しているけれど準備に時間がかかる」という方もいるのではないでしょうか?
Hugは使用にあたって特別な装具や事前準備が必要なく、女性の介護者でも一人で移乗介助ができる点が魅力的です。

使用環境に応じて2種類のHugから選べるため、以下で種類別の特徴を詳しく紹介します。

Hug L1-01

Hug L1-01は施設でも使用できますが、主に在宅で介護を行う方を対象とした商品です。

突然、親の介護が必要になったけれど知識が無いため介護製品を使いこなせるか不安という方は多くいます。
Hug L1-01は「立つ・座る」という2つのボタンのみで操作できるため、迷う心配がありません。

大きさ的にも一般の住宅に対応したコンパクトなサイズになっており、使用する際は簡単に移動させられます。
充電器のコードを本体に差し込むだけで直接的に充電できたり介護保険を適用してレンタルできたりするため、手軽に導入しやすい商品です。

Hug T1-02

Hug T1-02は、高齢者・障がい者施設や病院などで導入されることの多い商品です。
利用者の身長に応じた高さに調節できる点が特徴で、前後上下のモーター駆動によって自然な姿勢で立ち上がることができます。

また、移乗介助を2人で行っている施設では、Hug T1-02を用いて1人で移乗できると、業務効率化に繋がるでしょう。

Hug T1-02では、バッテリーをワンタッチで取り外すことができるため、本体をコンセントの近くまで持って行く必要がありません。
こちらの製品も介護保険を適用したレンタルをすることができます。

厚生労働大臣賞を受賞!

Hugは、介護業界単位で見ても注目度が高まっている商品と言えます。

2021年の3月に開催された第9回ロボット大賞では、Hug T1-02が介護・医療・健康分野における最高位である厚生労働大臣賞を受賞しました。
他にも、テレビや新聞などをはじめとした様々なメディアでHugは取り上げられているのです。

実際に、2015年頃から販売を開始したHugは、2024年2月現在で累計販売台数が約4,000台にものぼります。
介護の負担を減らしつつケアの質を高める流れが来ることを考えると、今後がますます楽しみな商品です。

Hugを導入した介護老人福祉施設の事例

北海道にある介護老人福祉施設「シンフォニー」の施設長である齋藤さんに、Hugを導入した事例としてインタビューを行いました。
介護老人福祉施設「シンフォニー」の公式ページはこちら

現在、シンフォニーでは4フロアに1台ずつHugを置いており、各フロア同士でHugの使い方に関する情報共有も行っています。
初めはHugの使用に消極的だったフロアに対して、頻繁にHugを使っているフロアが「筋力が低下した入居者様にも使えるよ」というように情報を共有しているそうです。

施設長である齋藤さんは、スタッフが自然と使いたくなるようにボトムアップの仕組みを構築しています。
実際に、Hugの使用状況に関するアンケートでは「Hug無しじゃ生きられない」という回答項目を選択するスタッフも居たそうです。

Hugを導入した背景・導入のコツ

施設長になる前、介護職として現場で働いていた齋藤さんは腰痛で苦しんでいたそうです。
そのため「シンフォニーのスタッフには、なるべく負担をかけたくない」という思いで、何かしらのロボットを導入しようと決めていました。

しかし、単にロボットを導入するだけではスタッフに浸透しないと感じた齋藤さんは、複数のスタッフを展示会に連れて行ったり、様々なデモ機を借りました。
様々な商品を借りる中で、手間が少なくコンパクトである点から、スタッフが決めたのがHugだったと言います。

スムーズに導入できた要因として、無料体験期間から購入までの期間を空けなかったことがポイントです。
Hugの使用が習慣化しているタイミングで購入したことは、ボトムアップで上手く導入できた事例と言えるでしょう。

実際に導入してみて良かった点

施設長としてHugを導入した齋藤さんは「最低限の介護品質を担保できた」と話します。

介護の動作は、柔道や古武術のように運動神経を必要とする技術が多いことが特徴です。
運動神経はスタッフごとに異なるため、介護品質を揃えるのは簡単ではありませんでした。

しかし、齋藤さんはHugを導入することで、全体の質を底上げすることができたのです。
少子高齢化などの要因で介護職が足りない中で、誰でも一定水準の品質を担保できる機器は重要度が高まるでしょう。

また、副次的なメリットとして、Hugを導入しているというブランディングによって、広告や求人にも効果が生まれていると話します。
実際に齋藤さんは全道で行われるICT関係の研修などにも登壇しており、シンフォニーという施設自体のイメージアップにも繋がっているのです。

Hugを利用する介護者の声

第一に、腰や手首など体の負担が減りました。
介護を始めてからは、腰から背中にかけて疲れが溜まり、就寝時は横向きだと痛くて寝られない状態でした。
Hugを使い出してから身体の負担が軽くなり、腰や背中の痛みが改善されました。

2人で移乗介助しなければいけなかったご利用者様に1人で対応できるようになったので楽になりました。
例えば、人員が少ない夜勤時などにトイレへ行きたいという方がいると、隣のユニットで作業をしているスタッフに声をかけていました。そのスタッフの作業が終わるまで10分かかる場合、ご利用者様と一緒に待たなければいけませんでした。
そこでHugを活用すれば、10分間待たずともトイレに誘導できるようになったのは嬉しいです。

介護度が高いご利用者様に対してトイレ誘導が可能になり、おむつではなくトイレで排泄できるようになりました。
トイレでの排泄が可能になったことの副次的な効果で褥瘡防止に繋がり、体位変換用マットの利用頻度が減りつつあります。
トイレで排泄をするという意味で、ご利用者様の尊厳を守ることもできています。

シンフォニーに入居する高齢者の反応

意思疎通は難しいけれども、トイレに行く際などは手を引きながら誘導すれば通常通り歩けるご利用者様がいました。

しかし、コロナにかかった後からは筋肉が弛緩しており、立ち上がることすらままならない状態になってしまったそうです。
声掛けに対する反応も悪くなり、リクライニングベッドで食事介助を行っている状況だと言います。

しかし、Hugが導入されてからはオムツではなくトイレで排泄できるようになりました。
排泄介助の手間がなくなるのはもちろんですが、ご利用者様としても尊厳を守れて嬉しいでしょう。

一般的に人が体を使って介護することが、信頼関係や愛だと捉えられる節があります。
そのため、Hugを初めて見たスタッフは戸惑ったり、ご利用者様は知らない物質に抱きつくのが不安だったりしたそうです。

しかし、冷静に考えると人が抱き合った状態で移動するのは不安定ですし、人間なので足が当たるなどのミスも発生するでしょう。

Hugではそのようなリスクを減らせるため、初めは怖がっていたご利用者様がむしろ自分からHugに向かっていくようになったと言います。
結局は機械の方が安心ということもあり、スタッフよりも早く慣れるご利用者様が居たほどだったのです。

Hugを導入してから感じた意外なメリット

Hugを導入したことで得られた意外な効果について、齋藤さんが紹介してくださいました。

シンフォニーでは、Hugを導入しているなどの理由から、スタッフの定着率が高いです。
そのため、加齢によって持病を抱えるスタッフも増えてくると言います。

一般的な施設の場合、疾患によって体力が低下すると働けなくなるという方も少なくありません。
しかしHugを活用するシンフォニーでは、体力を消耗するような移乗介助をする必要がないため、持病を抱える方でも夜勤ができているそうです。

日本は高齢化が進みますが、介護の負担を減らすことで介護職を続けられる方が増えるかもしれませんね。

製品仕様


Hug L1-01

Hug T1-02
寸法 (全長 × 全幅 × 全高)880 × 550 × 850 〜 1,200mm950 × 620 × 880 ~ 1,350mm
総重量30kg35kg
最大使用者体重100kg
バッテリー型式:鉛蓄電池
定格電圧:DC24V
充電時間:8時間
最大使用回数100回 (使用回数による)

よくあるご質問

介護保険でレンタルできますか?

介護保険レンタル可能です。ご担当のケアマネージャーの方や、福祉用具貸与事業所にご相談下さい。

各種補助金(対象:介護ロボット、移動リフトなど)の対象ですか?

補助金給付の実績が多数あります。自治体によって条件が異なりますので、申請方法や給付条件などの詳細については各自治体にお問い合わせください。

施設でのデモは可能ですか?

可能です。お問い合わせフォームからお問い合わせ下さい。担当者からご連絡差し上げます。

Hugを開発したきっかけ

Hugを展開する株式会社FUJIは創業から65年以上も続いており、電子部品実装機をはじめとする産業機器を製造販売するメーカー企業です。

新規事業開発の検討段階では「立ったり歩いたりすることに障壁を抱える人の移動を助けるもの」という漠然としたイメージでした。
ニーズを調査する中で介護施設の方と出会い、高齢者の立ち上がりを支援する際の負担が大きく、職員が腰痛になる課題に気づいたと言います。

その当時、経済産業省によるロボット介護機器の開発事業があったことも相まって、移乗をサポートする機器にフォーカスが絞られたのでした。
知らないことだらけの状態から始まった開発では、実際の介護施設では使えないほどの機能を盛り込んだ試作機が出来上がりました。

しかし、試作機に対する現場の声を地道に集めたことで、施設に求められる機能が分かり、結果として現在の移乗に特化したHugが完成したのです。

運営者の想い・やりがい

Hugを営業販売する株式会社FUJIの竹本さんは「Hugを提案することで、移乗介助の悩みを解決できることが嬉しい」と話します。

移乗介助による慢性的な腰痛は、これまでも長らく介護業界で問題視されてきました。
しかし、希望が十分に満たされた商品がなかなか現れず、今でも困っている介護者は多くいます。

そのような状況下で、同居しながら介護を行うご家族の方から「Hugが利用できたことによって在宅介護を安心して続けることができた」という内容が問い合わせページに届いたそうです。
また、Hugを利用した施設からは「便利だ」「役に立っている」という喜びの声をもらえたことが印象に残っていると言います。

さらには「ハグちゃん」と愛称を付けて呼んだりオリジナルのエンブレムを付けたりする介護施設もあるほどです。
このように便利な商品として貢献できるだけでなく、愛着が湧くほど慕われていることは、さらなる改良のモチベーションに繋がっていくことでしょう。

まとめ
メリット
  • 1人で立ち上がるのが難しい方用の移乗サポートロボット
  • 特別な装具や事前準備が必要なく、女性の介護者1人でも簡単に使える
  • 介護スタッフの負担を減らしつつ、ご利用者様にも安心を提供できる
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