【書式配布】介護のケアカンファレンスの理想的な進め方・事例を紹介

この記事は、以下のような方にオススメです。

  • ケアカンファレンスの目的を知りたい
  • ケアカンファレンスの進め方が分からない
  • 成功事例や書式のテンプレートを探している

ケアカンファレンスをスムーズに進めるには、事前準備や議題の設定など様々なコツがあります。

この記事では、ケアカンファレンスの理想的な進め方について、成功事例などを参考に解説します。

また、ケアカンファレンスシートの書式を無料でダウンロードできますので、ぜひ参考にしてください。

目次

介護現場でのケアカンファレンスとは?

ケアカンファレンスとは、介護現場で利用者へのケアを最適なものにするための会議です。

介護士や看護師、ケアマネージャー、リハビリスタッフなど複数の職種が集まり、ケアの方針を検討します。
利用者の状態変化や家族からの要望に対する解決策を考え、各職種が連携してケアの質を向上させるのが目的です。

一方、よく似た会議として「サービス担当者会議」がありますが、これとは明確な違いがあります。

サービス担当者会議は、主にケアプランの策定や要介護認定の更新時に行われる会議です。
それに対して、ケアカンファレンスは、施設ごとに自主的に行われ、利用者の状態を良くすることを目的に議論が進められます。

ケアカンファレンスの意義・目的

ケアカンファレンスは、介護施設におけるチーム内の連携を強化し、ケアの質を向上させる重要な会議です。

毎月同じような業務をしていると、無意識のうちに流れ作業になってしまう恐れがあります。
流れ作業にすることなく、むしろ業務をより良くしていけるように、定期的にケアカンファレンスが必要なのです。

さらに、ケアカンファレンスは、スタッフを育成する目的でも役立ちます。
経験豊富なスタッフの会議内での発言を聞くことで、ケアに対する考え方をインストールできる貴重な機会です。

これらの点を意識することで、チーム全体の能力や連携が強化され、結果的に施設全体のサービス向上に繋がります。

ケアカンファレンスの参加者

ケアカンファレンスには、利用者のケアに関わる多様な職種が参加し、それぞれの視点から意見を出し合います。

たとえば、医師や看護師は、利用者の健康状態を適切に把握し、治療法を提案する役割です。
特に、疾患の状態や薬の服用状況などは、具体的な対策を考える際に重要な判断材料になります。

また、介護士は利用者の生活を最も近くで観察しているため、生活習慣や心身の変化を的確に伝えることが重要です。
ケアマネージャーは、ケアプランやご家族の意向などを踏まえて、利用者のニーズを反映したケア内容を提案します。

他にも理学療法士などは、リハビリの進行状況や問題点を他職種に共有し、より効果的なケアに協力することが必要です。

このように、なるべく多くの職種が連携することで、多角的な視点から改善案を考えることができます。

ケアカンファレンスの頻度

ケアカンファレンスの頻度は、施設の状況や利用者の状態に合わせて、柔軟に設定されます。

基本的には毎月1〜2回程度の頻度が一般的です。
しかし、急にケアの見直しが必要な場合は、臨時でカンファレンスを開くこともあります。

注意点として、会議の頻度は多ければ多いほどよいというものではありません。
頻度よりも「会議内でどれほど有意義な議論ができたか」の方が重要です。

そのため、頻度も参加者も、「利用者へのケアの質を最も向上させるためには?」というアプローチで考えましょう。

ケアカンファレンスの理想的な進め方

ここからは、ケアカンファレンスの理想的な進め方を以下の3ステップで解説します。

STEP

資料やデータを事前に準備する

STEP

議題を提案し、会議を進行する

STEP

具体的な取り組み内容を決める

会議を始める前と、会議の途中と、会議が終わった後で1つずつ進め方のコツがあります。
プロセスに沿ってケアカンファレンスを実行することで、有意義な会議になるでしょう。

1、資料やデータを事前に準備する

ケアカンファレンスを内容の濃いものにするには、資料やデータを事前に準備することが重要です。

というのも、会議内で適切な判断をするためには、決定できるだけの判断材料が必要になります。
そのため、利用者の健康状態や介護記録、リハビリの進捗状況、家族からの意見など、幅広い情報を集めるようにしましょう。

また、各職種の視点から見た利用者の現状や課題を網羅的にまとめておくことも必要です。
情報が不足していると、会議内で何を改善すれば良いかが分かりづらくなってしまいます。

必要な情報をあらかじめ揃えることで、会議内で建設的な議論をしやすくなるのです。

こちらの記事で、利用者の事例紹介を作成する方法について紹介していますので、必要であれば参考にしてください。

2、議題を設定し、会議を進行する

ケアカンファレンス内での議論をスムーズに進めるには、議題の設定と進行方向が重要になります。

議題とは、目指したいゴールに到達するために、話し合うべき内容のことです。
曖昧な内容ではなく、全員が目的に向かって議論を進めやすくなるような議題を設定しましょう。

また、進行役の役割として、各職種が意見を言いやすくする雰囲気作りが求められます。
たとえば、相槌を打ったり、発言に対する他の人の感想を促したりという具合です。

なお、会議内で決まったことや話し合いの要点は記録して、議事録にまとめます。
このような進行ができれば、ケアカンファレンスはとてもスムーズに進んだと言えるでしょう。

こちらの記事では、議題を設定するコツや議事録のテンプレートを紹介していますので、合わせてご覧ください。

3、具体的な取り組み内容を決める

最後のステップとして重要なのが、会議内容を振り返り、具体的な取り組みに落とし込むことです。

このプロセスをきちんと行うことで、議論された改善案を実践の行動に繋げることができます。

このときにポイントなのが、誰が何をいつまでに実施するのかを明確にするという点です。

アクションプランが曖昧だと、せっかく話し合ったけれど誰も行動に移さなかったという事態になりかねません。
そのため、会議の最後には、チーム全体で具体的な取り組み内容を決めて、責任を割り振るようにしましょう。

【無料配布】ケアカンファレンスシートの書式

ケアカンファレンスでは、会議の内容を正確に記録する必要があります。
そこで、無料でご利用いただける書式を用意しましたので、ぜひダウンロードください。

ケアカンファレンスシートの書式

シートには、カンファレンスの基本情報(利用者氏名・日付・参加者)を記載する欄があります。
また、議論の方向性がブレないようにするため、長期目標と短期目標を明確にすることも可能です。

そして、現在の問題点や検討事項をリスト化し議題として提案できるようになっています。
会議内で挙がった具体的な取り組み内容については、担当者と期日もセットで埋めるリストを用意しました。

ケアカンファレンスをより効果的に進めるために、ぜひダウンロードしてご活用ください。

ケアカンファレンスでの記録の書き方

ケアカンファレンスでの記録は、会議で話し合われた内容を後から参照するために重要です。

記録の書き方としては、情報が誰の目にも明らかにまとまっている必要があります。

そのために活用できるのが「5W1H」の原則です。

  • 誰が(Who)
  • 何を(What)
  • いつ(When)
  • どこで(Where)
  • なぜ(Why)
  • どのように(How)

このようなポイントを意識して記録することで、会議内容を漏れなく、しかも簡潔にまとめられます。

また、ICTツールを活用することで、記録作業を効率化することも可能です。
たとえば、音声入力で自動的に会議内容を文字起こしして、後から内容を振り返ることもできます。

会議中に手作業で記録する負担を減らせると、議事録の担当者も議論に参加しやすくなるでしょう。

他の介護施設での成功事例を紹介

ここからは、他の介護施設で上手くいったケアカンファレンスの成功事例を紹介します。

具体的な事例の内容は、以下の3つです。

  1. 認知症ケアを改善した事例
  2. 転倒リスクを予防した事例
  3. 家族との連携を強化した事例

こうした事例を参考にして、ケアカンファレンスの効果的な進め方や、あなたの施設でも応用できるポイントを見つけてみましょう。

【例】認知症ケアを改善した事例

ある介護施設では、認知症の利用者が日常的に徘徊しており、夜間のスタッフが対応に疲弊していました。
このような状況を改善することを目的に、ケアカンファレンスが行われたのです。

会議内では、まず看護師が利用者の認知症の症状を報告しました。
それを聞いた理学療法士が、日中の運動を増やすことで夜間の睡眠導入を促すことを提案したのでした。

この案が採用され、来月からはリハビリテーションでのプログラムを、体を動かす活動をメインにすることに決まりました。

そして、介護士が実践したところ、利用者の夜間の徘徊は減少し、睡眠の質も改善されたのです。

結果として、夜間スタッフの負担も軽減されたため、他職種が連携した効果的なケアカンファレンスだったと言えます。

【例】転倒リスクを予防した事例

ある介護施設では、利用者が頻繁に転倒するという深刻な問題が発生しました。

転倒による骨折のリスクは大きいため、臨時でのケアカンファレンスが開かれたのです。
介護士のデータによると、夜間にトイレで転倒するケースが多いことが分かりました。

理学療法士は、利用者の能力低下が進んでいることを指摘して、リハビリを増やすことを提案します。
しかし、介護士は「昼は大丈夫だから、夜に原因があるはず」と考え、「つまずきやすい原因があるのではないか」と返答しました。

そして、トイレの入り口にある小さな段差にスロープを付けてみたところ、転倒の回数が減少したのです。
さらに、日中の転倒リスクを予防するためにも、手すりを設置する対策が行われました。

このようにして、利用者の転倒事故が減少し、施設全体のサービスの質が向上した成功事例です。

【例】家族との連携を強化した事例

ある介護施設では、家族からの不安の声が多く、入居する利用者が減っていました。

不安の声は、「きちんとサービスを受けられている?」というものでした。
そのため、ケアカンファレンスで、家族との連携を強化する方法の案をたくさん出しました。

採用された案は、担当スタッフが毎月お便りを送り、コミュニケーションを取るというものです。
利用者の状態や今月のレクリエーションでの様子を報告することで、安心感を与えることができます。

実際に、家族は施設のケアを信頼するようになり、不安の声は大幅に減ったのでした。

この事例から学べるのは、「発生している課題に対してどのように対処するか?」を考えるのがケアカンファレンスでは効果的だということです。

まとめ

この記事では、ケアカンファレンスの理想的な進め方について解説しました。

ケアカンファレンスとは、介護現場で利用者へのケアを最適なものにするための会議です。
さまざまな職種が参加して、1ヶ月に1回程度のペースで、業務の課題を改善します。

ケアカンファレンスの理想的な進め方は以下の3ステップです。

  1. 資料やデータを事前に準備する
  2. 議題を設定し、会議を進行する
  3. 具体的な取り組み内容を決める

また、他の介護施設での成功事例を参考にして、あなたの施設で応用できるポイントを探してみてください。

ケアカンファレンスの書式は、以下のボタンからPDFでダウンロードすることができます。
記録の書き方としては、5W1Hを意識しながら簡潔に会議の内容をまとめましょう。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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