【例文あり】介護サービスにおけるモニタリングシートの書き方を紹介

この記事は、以下のような悩みを持つ方にオススメです。

  • モニタリングに時間がかかってしまう 
  • 一人一人に合わせた内容を考えるのが大変
  • モニタリングの質を高めるために小さな変化にも気づけるようになりたい

「モニタリングシートを書くとき、何と書けばいいか分からない…」と悩むことは少なくありません。

この記事では、モニタリングの事前準備に使える質問集と、短期目標に合わせたモニタリングの例文をまとめました。

書類にかかる時間を少しでも減らし、利用者とその家族の要望に寄り添える時間を増やしましょう。

目次

利用者と家族の要望に寄り添う!モニタリングのコツ3選

つい日々の業務に終われて、モニタリングで訪問する時間を少しでも短くしようと考えてしまうこともあるかもしれません。

しかし、モニタリングで利用者とその家族の要望が汲み取れず、すぐに対応を取れない状況では信頼関係の構築は難しいでしょう。

では、利用者に寄り添ったモニタリングにするためにはどのようにすれば良いのでしょうか?
利用者に満足してもらえるように3つのポイントを押さえておきましょう。

1、サービス担当者から必要な情報を集める

利用者と接する機会はケアマネジャーより圧倒的にサービス担当者の方が多くなります。
そのため、知り得なかった情報を持っている可能性も高く、一緒に目標に向かうメンバーとしての所見は価値が高いものになること間違いなしです。

しかし、「現在のサービスご利用状況を教えてください」だけでは「大きな変化はありません」くらいしか返答は返ってこないことが多いでしょう。

そこで、サービス担当者から事前に確認すべき内容は、以下の3つです。

  1. ケアプラン通りにサービス提供がされているか
  2. 目標が達成されているか
  3. 計画を修正する必要があるか

加えて、より必要な情報を得るために「サービス開始前は否定的な意見も聞かれましたが、現在のご利用状況はいかがですか?」など具体的な一言を添えると良いでしょう。

また、小さな変化に気付けるようになるためにも、この後に示す質問集を参考にしてみてください。

2、小さな変化から要望を汲み取る

小さな変化を感じ取るには熟練された経験が必要なのでは?と思う方も多いと思います。

「気づく力」に最も重要なのは、アセスメント評価とコミュニケーション能力です。
初回の利用者の様子や要望をきちんと把握することと、日頃から話しやすい関係性を作っておくことを心がけるようにしましょう。

そうすることで、毎日一緒に生活している家族よりも月に1度しか訪れないケアマネジャーだからこそ「少し痩せてきた?」「たくさん話すようになった?」などの変化に気がつくこともあるのです。

また、高齢者は「良くしてもらっているから」と遠慮をして、本当はこうしたいという自身の要望を語らない方も多いです。
そのような時こそ、ケアマネジャーは小さな変化から要望を汲み取れるといいでしょう。

3、モニタリングの情報を関連事業者に共有する

モニタリング終了後、サービスの変更や追加があれば関連事業者に連絡してすぐにサービスが始められるよう手続きを行います。
その際に、今回のモニタリングで得た情報を共有しておくと、次回のモニタリングの効率も上がります。

また、モニタリング内容に漏れがないよう、モニタリングシートに記載する際は、話し言葉を使わず簡潔に書くように心がけましょう。
本人の考えなのかケアマネージャーの考えなのかが判別できるように記載しておくのが大切です。

ここからは、利用者と関わる時間やより良いサービスを考える時間を大事にするために、質問集や例文をご紹介します。

モニタリングで使える質問集

ここからは、モニタリングでどのような質問をしたらいいのかを例としてあげます。

的確なモニタリングになるよう、また業務の効率化が図れるようぜひ参考にしていただけたら幸いです。

サービス担当者へ向けた質問集

  • この1ヶ月で身体や心境の変化があれば教えてください。
  • 食事量や疲れやすさなど体調の変化で気になることはありませんか?
  • 転倒なく生活する目標に対してリハビリの状況を教えてください。
  • 少し無理な要望などはありませんか?

利用者・家族へ向けた質問集

  • サービスを開始してから1ヶ月が経ちましたが、利用してみてお身体に変化はありましたか?お気持ちに変化はありましたか?
  • 綺麗なお召し物ですね。外に出掛けられるようになりましたか?
  • スーパーまで買い物に行く目標は達成できそうですか?未達成であれば今何割くらいの達成度ですか?

【例文】モニタリングシートへの書き方

モニタリングシートでは、ケアプランで立案した短期目標に対してサービスがどうだったかを記録します。

よくある短期目標別に例文をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

筋力・体力低下予防、転倒予防

デイサービスでのリハビリは積極的に取り組まれているよう。本人は疲れも見られないため増回したいとの希望あり。家族は自己負担が増えることを懸念している。

現在は介護ベッドと杖のレンタルのみ。デイサービスなどの利用は必要ないと頑なに拒否されているが、先日自宅の庭で転倒したとのこと。家族や友人との交流もほとんど行っていないため体力・認知機能の低下が懸念される。

認知機能低下予防

新しく導入したデイサービスに行く日に準備ができていないことや通院の日にちを忘れてしまうことがある。長女が当日の朝に電話をして準備を促したり、紙に書いて伝えることで対応できている。今後もサービスを継続できるよう訪問介護の導入も検討。

認知症の進行により家事をする気力が無くなってきている。火の元の管理が出来ておらず、息子に判断力が低下していると指摘されたことを気に留めている。活動量の低下から病状が悪化するリスクがあるため、ヘルパーの調理援助が必要である。

痛みの軽減

腰の痛みから家事が思うようにできなくなっている。負担軽減のため訪問介護にて掃除・洗濯を支援。来月からデイサービスに通い、痛みの軽減が図れるよう運動指導を行なっていただく。

膝の痛みが強く買い物など外出が難しくなっている。現在は生協の宅配サービスを利用しているが週1回のため、本人は物足りないという。ヘルパーによる買い物支援を受けることで必要なものを購入でき、在宅生活の継続が可能となっている。

他者との交流

デイサービスを利用し、利用者同士やスタッフとの会話を楽しみにしている。まだデイサービス以外の外出機会は増えていないため、今後も継続し心身ともに安定した生活を送る。

地域住民との交流はあるが、知人と会う頻度は少なくなっている。難聴もあるためコミュニケーションが取りづらくなっているため、孤立しないよう訪問看護・訪問介護による介入は継続していく。

生活支援

買い物サービスを利用することによって買い物の負担は軽減できたと言われている。毎週ヘルパーと話す楽しみもあるとのこと。以前より外出機会が少なくなっているためデイサービスなどの利用も検討していく。

脳梗塞後遺症で麻痺があるため、十分な家事が行えていない。訪問介護を導入したことにより、食事の準備や洗濯などできない部分を支援できている。

移動能力の維持、向上

退院後のため、筋力・体力ともに低下している。入院前は1時間程度の散歩や自転車での買い物も行えていたが、入院前の身体機能を再獲得するためにリハビリを継続していく。

在宅での居室からトイレまでの移動は伝い歩きで行えているが、息子はトイレまで歩けなくなったら施設を検討したいとの意向がある。できるだけ長く在宅生活を続けられるよう訪問リハビリにて下肢筋力の維持・向上を図っていく必要がある。

食事、嚥下機能向上

食事介助を行うが、なかなか口を開けず時間を要す場面もある。先月より体重減少しており、体力の低下や褥瘡のリスクも懸念される。ショートステイ利用中の食事量なども連携をとり、家族・訪問医・訪問看護とも情報共有を行なっていく。

食事中のムセが多くなってきている。誤嚥性肺炎のリスクもあるため、食事場面ではクッションなどで姿勢を整える必要がある。また、食事前の嚥下体操に取り組み嚥下機能の向上を図る。

安全な入浴

自宅での入浴介助を長男の嫁が行っているが、日によって介助量にムラがある。安全な立ち座りや姿勢保持のためシャワーチェアを導入。今後介護が困難になってきた場合のデイサービスでの入浴や訪問入浴などのサービスの案内を行なっていく。

入浴時の血圧変動があるため、施設での入浴介助・見守りが必要。タオルを渡すことで自身での洗体可能も、湯船での入浴後立ち上がれなくなる場面もあったとのこと。事故防止のためにも引き続き入浴支援の必要がある。

家族の負担軽減

体格差もあるため、妻の在宅での介護にも限界がきている。訪問介護による支援は今後も必要。現在は週2回だが、週3回の介入に増回予定。

同居家族は仕事に行くため、日中独居になってしまう。デイサービスを利用することで、家族の負担軽減と日中1人にならないよう支援していく。

健康管理

一人暮らしのため食事は菓子パンのみなど偏食気味。睡眠時間も自由にとっているため昼夜逆転や認知機能低下の危険性がある。デイサービスには行きたくないと拒否が強いため、訪問看護にて健康管理を継続して行なっていく必要がある。

薬の飲み忘れや過剰摂取を防ぐための訪問看護の導入、内服確認を行う。副作用による便秘症状も出ているため排便の有無なども確認を行なっていく。

【Q&A】よくある質問

利用者からサービスの不満を聞いた場合、どうすれば良いですか?

まずは耳を傾けて不満が起きている原因を追求しましょう。
サービス担当者に伝えるかどうかは、利用者に危険が伴う可能性があるかなどを判断し、必要があれば報告します。

時には利用者本人の気持ちを聞いてもらうことで満足する方もいるでしょう。

なぜ不満に思うのかを掘り下げて確認し、誤解の起きないよう円滑に対処しましょう。

家族がたくさん話して、利用者本人の意見がなかなか聞けません。どのように対応するべきでしょうか?

話を遮ることはせず、本人の意見も聞きたい旨を説明しましょう。
その上で理解を得られたら別日に再度機会を設けるか、サービス利用中に話を聞きに行くなど調整を行うことも良いでしょう。

家族がたくさん話すことにも何か理由があるはずです。

認知症や言語障害があってもサービスを利用する本人の意見や気持ちは必ず確認するようにしましょう。

まとめ

この記事では、モニタリングで必要な情報が得られるような進め方や、目標別の例文についてお伝えしました。

モニタリングは利用者・家族、サービス担当者などと調整して行います。
そのため、限られた時間で効率よく必要な情報を聞き出し、サービス内容が合っているのか評価・検討する必要があります。

モニタリングを行うときのポイント

  • 利用者の変化を評価するというモニタリングの目的を理解する
  • 少しでも多くの情報が得られるよう具体的な質問を事前準備しておく
  • 誰が読んでもわかりやすいモニタリングシートを記載する

一人ひとり内容が異なるため、白紙の状態からモニタリングシートを完成させようとすると大変な作業になってしまいます。
この記事の例文が、少しでも業務の効率化に繋がると嬉しいです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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