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在宅介護と施設介護で最も多い虐待の種類とは?高齢者虐待防止法の国家試験対策にも!

この記事は、以下のような悩みを持つ方にオススメです。

  • 国家試験の「社会の理解」科目が苦手。高齢者虐待防止法について理解を深めたい
  • 厚生労働省の正式な文書を分かりやすく解説してほしい
  • 介護の現場でどのような虐待が多いのか知りたい

この記事では、介護現場で行われる高齢者虐待の実態についてデータを基に紹介します。
国家試験の対策として、高齢者虐待の理解を深めたいという方にもオススメです。

複雑な厚生労働省の調査結果をわかりやすく噛み砕いて解説しますので、ぜひご覧ください。

出典:厚生労働省「令和4年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

目次

国家試験でも毎年出題される高齢者虐待

看護師・介護福祉士の国家試験で、数は多くないものの「高齢者虐待」に関する問題が近年出題されております。

まずは過去問で確認しましょう。

看護師国家試験 第111回 午後54問
令和2年度(2020年度)「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」の結果において、養護者による高齢者虐待に関する説明で正しいのはどれか。

  1. 被虐待者の認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクⅡが最も多い。
  2. 被虐待者の9割が女性である。
  3. 心理的虐待が全体の6割を占めている。
  4. 夫による虐待が最も多い。
答えは、こちらを開いてください。

正解:1

近年では、高齢者虐待の種類や割合を求められる問題が多くなってきています。
割合が問われると、かなり難易度が上がりますよね。

虐待の実態は発表された年度によって結果に多少違いがあるので、最新の実態調査と虐待の種類・虐待者の特徴などを覚えておく必要があります。

高齢者虐待の種類は、5つに分類される

虐待の種類は過去に何度も出題された内容です。

今までは種類が答えられれば大丈夫でしたが、今後は割合や内容まで詳しく出題される可能性もあります。
ここからは、虐待の種類別にポイントを押さえておきましょう。

「身体的虐待」が最も多く6割以上

身体的虐待とは、暴力的行為などで、身体にあざや痛みを与える行為、外部との接触を意図的・継続的に遮断する行為のことです。
家庭内では65.3%、施設では57.6%の割合で、虐待の種類別では最も多くなっています。

(例)

  • 暴力・暴行:叩く、腕をつねる、腹部を蹴る、踏みつける
  • 投げる:物を投げる、ベッドへ投げ飛ばす、突き飛ばす
  • 引っ張る:髪や耳を引っ張る、強引に引っ張り上げて車いすに乱暴に乗せる

体を動かせないように身体拘束することも身体的虐待に含まれます。

「言っても聞かないから」など、認知症や動作のスピードが落ちてしまう高齢者に対して多く行われる傾向にあるようです。
最初はつい叩いてしまったという程度であっても、毎日の介護で疲弊するとエスカレートしてしまう可能性があります。

「心理的虐待」は3割で2番目に多い

心理的虐待とは、脅しや侮辱などの言葉や威圧的な態度、無視、嫌がらせによって精神的・情緒的苦痛を与えることです。
家庭内では39.0%、施設内では33.0%の割合で、日常的に数多く繰り返されてしまいやすい特徴があります。

(例)

  • 暴言:「またトイレなの」「バカ」「施設に入れ」「こんなこともできないの」「汚い、臭い」「価値がない人間」など
  • 威圧:威圧的な態度で指示命令、 排泄の失敗や物忘れ等への叱責

モラル・ハラスメントと同じように、親密な中だからこそ起こりやすい虐待です。
高齢者は「日頃、世話をしてくれているから」とひどい暴言を受けても我慢していることもあります。

「介護の放棄・放任(ネグレクト)」は生命の危険が最も高い

ネグレクトとは、介護や生活の世話を行っている家族が、その世話を放棄または放任し、高齢者の生活環境や身体・精神的状態を悪化させることです。
家庭内では19.7%、施設内では23.2%の割合で、生命の危機に陥っている危険が最も高い特徴があります。

(例)

  • 放置:褥瘡・低栄養状態で放置、オムツが汚れた状態で長時間放置、ごみ屋敷状態
  • サービスの制限:十分な量の食事や水分を与えない、骨折していても受診させない
  • その他:介護者が不在、退院後の引き取り拒否

ネグレクトは、「意図的なものであるか・結果的にそうなったか」は問いません。
中には、介護疲れからの自己防衛が背景にあることもあります。

発見が遅れると取り返しのつかない状態まで陥ってしまう可能性があり、早急な対処が必要です。

「経済的虐待」は在宅介護で多い

経済的虐待とは、本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限することです。
家庭内では14.9%、施設内では3.9%の割合で施設より家庭内で行われているケースが多いのが特徴です。

(例)

  • 居室に入り現金を着服、年金や生活保護費を取り上げる
  • 必要な医療費・サービス利用費を払わない、劣悪な環境下でも一切支出しない

介護をしていても、お給料が支払われるわけではありません。
だからといって、高齢者の預金などを許可なく勝手に使用することは虐待に該当します。

親の介護が必要になったことで、収入が減ったり失業したりするなど金銭的に生活が厳しい背景も考えられます。

「性的虐待」は人手不足の施設で起こりやすい

性的虐待とは、本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為またはその強要のことです。
家庭内では0.4%と少ない割合ですが、施設内では3.5%と精神的苦痛が大きい虐待です。

(例)

  • 裸で長時間放置するなど懲罰的行為
  • 自分の性器を触らせる、陰部や胸を触る

高齢者になると出来ないことや失敗してしまうことも増えますが、恥ずかしい思いをさせるような行為は虐待にあたります。
日常の忙しさなどから心に余裕がなくなると、配慮が欠けてしまう可能性が考えられます。

在宅介護の実態

7割以上が高齢女性への虐待

被虐待者の特徴として、女性が75.8%、年齢は80代が46.0%を占めています。
要介護認定を受けている方が約7割となっており、最も多いのが要介護1で26.0%との報告が出ました。

また、認知症の生活自立度Ⅱ以上が73.5%で、認知症などにより自立が難しくなると虐待を受けやすい傾向にあります。
ADLはおおむね自立していても認知症により買い物に行けない、服薬管理ができないなど一部介助が必要で独居が難しくなると介護の負担も大きくなってきます。

虐待を行ってしまうのは息子が多く、次いで夫

虐待者は息子が39.0%、夫が22.7%というデータから、息子からの虐待が多いのがわかります。

また、虐待が認められた家庭の中で、2人暮らしでは52.8%という報告もあり、他家族が同居していない2人暮らしで虐待が行われやすいとの結果も出ました。

忙しい時に頼れる人や相談できる人が近くにいないと介護ストレスとなり虐待に繋がりやすいと言えるでしょう。

通報者はケアマネジャーより警察が多い

通報者は、警察が34.0%、ケアマネジャーが25.0%となっています。

介護サービスを受けている場合はケアマネや事業所からの通報が多くなりやすいです。
しかし、サービスを受けていない場合は警察や病院などからの通報が多くなるため、虐待が発生しやすいのはサービス利用のない家庭であることがわかります。

発生要因としては、「認知症の症状」や「介護疲れ・ストレス」が多くなっています。
軽度の認知症であると身体的虐待が多く、重度の認知症や要介護度が上がると介護放棄に繋がりやすく、深刻度も高くなる傾向です。

介護サービスを利用することも、高齢者虐待を予防する一つの方法になるでしょう。

施設介護の実態

当該施設職員からの通報が最も多い

施設での虐待は、人手が少なく忙しい夜勤帯に多いと言われています。

近年はコロナ禍でもあり面会時間が限られていることもあり、家族より職員からの通報が多い傾向にあります。

虐待が報告されている事業所の種別では、特別養護老人ホームで32.0%、有料老人ホームで25.8%となっています。
介護度が高い方が多く、人手不足に陥っている事業所で発生しやすいと言えるでしょう。

介護度・寝たきり度の高い高齢女性への虐待が多い

在宅介護と同じように、女性が71.7%、年齢は80代後半が23.8%、90代前半が23.5%と高齢女性が虐待を受けやすい傾向にあります。

しかし、在宅と違うのは要介護度3以上が76.5%、認知症生活自立度Ⅱ以上が80.4%、寝たきり度A以上が57.6%と介護度・寝たきり度が上がるほど虐待が多くなっている点です。

自宅での介護が難しくなった方が入所するため、ケアが必要な方が多いことがデータから読み取れるでしょう。

介護従事者全体の男女比を考慮しても男性が虐待を行う割合が高い

虐待者の性別は男性が51.7%、女性が44.9%となっており、女性が多い職場であることを考えても圧倒的に男性の割合が多いことがわかります。

発生要因としては「教育・知識・介護技術等に関する問題」が最も多く、「職員のストレスや感情コントロールの問題」が次に挙げられます。

過去にも指導を受けている事業所は27.1%と常習化しやすいため、虐待に気づいたら早期に体制の改善が必要となるでしょう。

高齢者虐待防止法とは?

高齢者虐待防止法とは「65歳以上の高齢者に対する養護者と養護施設従事者による虐待のこと」と定義されています。

対象となるのは介護サービス利用の有無は問わず、65歳以上の高齢者です。
65歳未満の施設に入所されている介護サービス利用者も高齢者とみなして規定が適用されます。

発見者は市町村に通報

虐待を発見した全ての人は、速やかに通報する義務があります。
通報場所は市町村で、通報時には事実確認をする必要はありません。

市町村は高齢者虐待の相談窓口でもあり、高齢者虐待の防止、高齢者の保護、養護者の支援を第一に責任を持つ役割を担っています。

事実確認も市町村が行う

事実確認とは「通報内容の確認と高齢者の安全確認」を行うことです。
立ち入り調査とも言いますが、地域包括支援センターに委託して行うこともあります。

立ち入り調査では養護者の抵抗を受けるなど職務執行が困難な場合には、警察署長に援助を求めることが可能です。

保護先は特別養護老人ホーム

高齢者の一時保護は、養護者からの分離が必要と市町村が判断した場合、契約などが無くても「やむを得ない事由の措置」として一時的に入所させることができます。

保護先は、特別養護老人ホームまたは短期入所生活介護(ショートステイ)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、小規模多機能居宅介護といった介護保険サービスになります。

最後に確認問題

最後に確認問題として、介護福祉士の過去問を解いてみましょう。

第35回:令和4年度(2023年)問題16
社会の理解:「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 虐待が起こる場として、家庭、施設、病院の3つが規定されている。
  2. 対象は、介護保険制度の施設サービス利用者とされている。
  3. 徘徊(はいかい)しないように車いすに固定することは、身体拘束には当たらない。
  4. 虐待を発見した介護施設従事者には、通報する義務がある。
  5. 虐待の認定は、警察署長が行う。
答えは、こちらを開いてください。

正解:4

まとめ

この記事では、虐待の種類や高齢者虐待防止法について国家試験に出題されやすい要点を中心にわかりやすく解説しました。

高齢者虐待のポイントは、以下の3つです。

  • 5種類ある虐待の中で、身体的虐待が最も多い
  • 虐待をするのは息子、虐待をされるのは高齢女性が多い
  • 虐待の通報先は市町村で、事実確認も市町村が行う

高齢者虐待に関する最新の情報を理解しておくことは大切です。

国家試験対策としてただ覚えるだけではなく、なぜこのような法律ができたのか考えながら高齢者虐待を防止していきましょう。

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