【親の介護】認知症は在宅介護できる?注意点や利用可能なサービスを紹介

この記事は、以下のような方にオススメです。

  • 親が認知症かもしれないと悩んでいるご家族
  • 認知症を自宅で介護したいと考えている方
  • 自宅で認知症を介護する際に利用できるサービスが知りたい方

この記事では、認知症の在宅介護について詳しく解説します。

「物忘れが増えた」「最近、言動に違和感を感じる」など、親やパートナーが認知症かもしれないと不安を感じていませんか?
実際にどう対処すればいいのか分からず、とまどっている方も多いでしょう。

この記事では、認知症が疑われる際に要介護認定を申請するタイミングや、在宅介護を始めるにあたっての注意点をまとめました。
あわせて、認知症の方にオススメの介護サービスについても詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

認知症とは記憶力や判断力が低下した状態

実は、「認知症」は病名ではありません。
記憶力や判断力の低下により、日常生活に支障をきたす状態を総称して、認知症と呼ぶのです。

ケガや病気で若くして認知症と診断される方もいますが、多くの場合は高齢による脳機能の低下が原因で発症します。

認知症の発症率は、65歳を過ぎると高くなり、年齢とともに増加します。
80代後半では男性の35%、女性の44%が発症しており、誰もがなりうる病気だといえるでしょう。

このように、身近な病気である認知症ですが、発症に気づきにくいという一面があります。

少しずつ脳神経がダメージを受けて進行していくことから、一緒に生活しているご家族が変化に気づきにくく、「いつの間にか進行していた」というケースも珍しくありません。

「認知症かも」と感じた時にいち早く気づけるよう、始まりのサインを確認しておきましょう。

  • 物忘れ
    →言われても思い出せない
    →忘れたこと自体を忘れている
  • 性格の変化
    →怒りっぽくなる
    →落ち込みやすくなる
    →うつに似た症状がある
  • 理解力の低下
    →お金の管理や買い物ができなくなる
    →会話についていけなくなる
  • 集中力の低下
    →読書やテレビをしなくなる
    →趣味などをやらなくなる

認知症は、原因となる病気にもよりますが、早期発見することで改善や進行を遅らせられる場合もあります。
上記のような症状が見られた際は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

要介護認定の申請タイミングは、ご家族の負担が目安

少しずつ進行する認知症の場合、どのタイミングで要介護認定を申請すればいいか悩む方も多いでしょう。

ヘルパーやデイサービスといった介護サービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。
そのため、ご家族だけでの介護に負担を感じ始めたタイミングで、要介護認定を申請する方が多いようです。

ただし、申請後にスケジュールを調整し、面談や審査などが行われてから結果が出るため、要介護認定までに1ヵ月半ほどかかります。

認知症の在宅介護は、精神的・体力的にも負担が大きいといわれています。
無理を続け、ギリギリまで我慢するのではなく、余裕を持って早めに申請しましょう。

認知症の要介護レベルの基準

認知症の介護度は、日常生活での自立度や介護にかかる時間などによって総合的に判断されます。

要介護3に認定される方は、事前に医療機関で認知症と診断されていることが多いようです。

より正確な状態を伝えるためにも、普段の生活や症状を把握しているかかりつけ医に「主治医意見書」を書いてもらうと良いでしょう。

認知症に関する介護度の目安は、以下の通りです。

要介護1認知症は発症していたとしても軽度
簡単なサポートがあれば自立した生活ができる
要介護2理解力や判断力が低下し、金銭管理などが難しい
要介護3日常的な介助・見守りが必要
1人で安全に暮らすのは難しい
要介護4思考力や理解力が著しく低下した状態
徘徊や暴言、妄想などの行動が見られる
要介護5コミュニケーションを取るのが難しい

認知症なのに要介護認定されない時は?

前述した通り、介護サービスを利用するには、要介護の認定を受ける必要があります。
また、介護度によってサービスの利用時間や金額の上限が変わるため、介護度がいくつに決まるかは非常に重要なポイントといえるでしょう。

しかし、「認知症なのに、要介護認定されない」「介護がとても大変なのに、介護度が低い」といった話も少なくありません。

認知症の介護度は、身体能力の低下や健康上の問題がない場合、日常生活の自立度を基準として決まります。
調査員に対して、日々の介護にかかる時間や手間を適切に伝えきれていない場合、実際の症状よりも軽い介護度に認定されてしまうことがあるのです。

そのような場合は、以下のような方法で介護度の見直しを申請しましょう。

  • 不服申し立て
    結果が実際と異なり、納得できない場合、要介護認定を取り消して再審査を要求できる制度です。
    ただし、認定調査から再度やり直すため、結果が出るまでにかなりの期間が必要になります。
  • 区分変更申請
    ケガや病気などで症状が変わり、介護度の見直しが必要になった際に申請する制度です。
    1ヵ月程度で結果が出るため、こちらの制度を利用する方も多くいます。

※見直しの申請は、担当のケアマネジャー、もしくは地域包括センターに相談しましょう。

認知症は在宅介護できる

「認知症の介護は大変」という話を耳にし、不安に感じているご家族も多いのではないでしょうか?
在宅介護と施設入所で迷っている方もいるかと思います。

結論からいうと、認知症でも、介護サービスなどを活用することで在宅介護が可能です。

現在、日本に住む認知症の約半数が、自宅で暮らしているといわれています。
認知症は、決して在宅介護が難しい病気ではないのです。

しかし、病気が進行して徘徊や妄想が始まると、24時間つきっきりの介護が求められます。
そのため、介護者にかかる負担が増え、施設入所を余儀なくされるケースも少なくないのです。

在宅介護を長く続けるためにも、サービスや便利なアイテムをうまく活用し、負担軽減を目指しましょう。

認知症を自宅で介護する際の注意点は3つ!

認知症の介護をするご家族は、以下の3つに注意しましょう。

  • 叱ったり罰を与えたりしない
  • 穏やかな対応を心がける
  • プライドを傷つけない

認知症が進行すると、少しずつできないことが増え、物忘れが多くなっていきます。
「私や家族のことも忘れてしまうのでは」と不安になり、気持ちがついていかないこともあるでしょう。

そのような焦りから、思わず急かしたり「どうしてこんなこともできないの?」とプライドを傷つけるような声かけをしていませんか?
また、徘徊や暴言といった問題行動が出てくると、思わず怒鳴ったり、無理やり連れ戻そうとしたりすることもあるでしょう。

しかし、一番不安を感じているのは、認知症のご本人です。
理解力や記憶力が低下し、自分がどこにいるかも分からないなかで、怒鳴られたり厳しい言葉をかけられたりすることでパニックになることも考えられます。

否定をせず、穏やかな対応を心がけることで、問題行動が減ったというケースも珍しくないのです。

認知症をご家族で介護する限界の目安は「負担の大きさ」

在宅介護の限界は、ご家族が感じる負担の大きさが目安になります。

具体的には、介護するご家族が以下のような状態になった場合、施設入所を積極的に考えましょう。

  • 常に介護の悩みがつきまとい、気分が落ち込む
  • 不安やストレスから、眠いのに眠れない
  • 十分な睡眠をとっても、疲れがとれない
  • 食欲がなく、体重が減少した

また、介護を通じて腰痛や膝痛などが頻発し、体力的に限界を感じた場合も施設入所を検討してください。

無理を続け、介護うつになるケースも珍しくありません。
介護がつらいと感じたら、なるべく早めにケアマネジャーに相談しましょう。

もし、匿名で同じ悩みを持つ人と話したいと感じる場合は、「介護のお悩み相談所」という匿名掲示板がオススメです。

認知症の在宅介護で利用できるサービスは4つ!

ここまでは、認知症を在宅介護するにあたっての準備や注意点について解説してきました。
前述したとおり、在宅介護を続ける限界の目安は、ご家族が感じる「負担の大きさ」です。

認知症の介護は、精神的な負担が大きいとされています。
特に在宅介護の場合は、相談できる相手がおらず、悩みを抱えこむ方も多いです。

住み慣れた自宅でなるべく長く介護を続けられるよう、ヘルパーなどのサポートを受け、負担を軽減し、余裕のある介護を目指しましょう。

ここからは、認知症の在宅介護で利用できる介護サービスを、4つご紹介します。

  • 自宅で受けられる介護サービス
    1、ヘルパーに介護を手伝ってもらう「訪問介護」
    2、自宅で看護師による処置が受けられる「訪問看護」
    3、24時間サポートが受けられる「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」
  • 認知症に特化した施設
    4、認知症に特化したサービスが受けられる「認知症デイサービス」

1、ヘルパーに介護を手伝ってもらう訪問介護

訪問介護とは、自宅にヘルパーが訪問し、身の回りの世話や生活のサポートをしてくれるサービスです。
食事や入浴、排せつ、着替えなどの身体介護や、洗濯や調理、買い物といった生活支援が受けられます。

ヘルパーの訪問中、ご家族は介護から解放され自由な時間が確保できるため、精神的な余裕につながるでしょう。
また、入浴や排せつなど体力が必要な介護を任せられるため、肉体的な負担の軽減も期待されます。

さらに、介護のプロであるヘルパーと定期的に顔を合わせることから、介護に関する悩みを相談しやすいという点もポイントです。

2、自宅で看護師による処置が受けられる「訪問看護」

訪問看護とは、看護師や理学療法士などの専門家が自宅に訪問し、主治医と連携して看護やリハビリを行うサービスです。

介護を受ける方の自立を支援し、住み慣れた自宅でその人らしい生活をおくるためのサポートをします。
具体的には、床ずれの手当や点滴といった医療処置だけでなく、バイタルチェックやリハビリ、健康管理やアドバイスなどが受けられます。

病気や服薬など専門的な内容について相談ができるため、日々の看病に不安を抱えているご家族の支えとなるでしょう。

3、24時間サポートが受けられる「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、ヘルパーや看護師が定期的に自宅を訪問し、サポートするサービスです。

訪問介護や訪問看護とは違い、1回約10〜20分という短時間のサービスを、24時間好きなタイミングで複数回受けられます。

例えば、「毎日4回、オムツ交換をお願いしたい」「夜中に複数回ある体位変換だけ頼みたい」など、短時間の介護を細切れで頼みたい方や、夜間のサポートを受けたい方におすすめのサービスです。

4、認知症に特化したサービスが受けられる「認知症デイサービス」

認知症が進行すると、一般的なデイサービスでは入所を断わられるケースも珍しくありません。

そのような場合でも利用できる施設が、認知症に特化したデイサービスです。

受けられるサービスは、入浴や食事の介助、レクリエーション、リハビリなど、一般的なデイサービスと変わりません。
しかし、スタッフの対応や環境には、認知症の特性にあわせた配慮が行き届いています。

例えば、定員が少人数な点もそのひとつです。
スタッフが利用者一人ひとりに気を配れることから、手厚いサポートが受けられるのです。

レクリエーションや食事の際も、他の利用者を気にすることなく、その方のペースに合わせてじっくりと見守ってくれます。

また、管理者に認知症ケアの研修が義務付けられているため、専門的なケアが期待できる点も魅力です。

【Q&A】よくある質問

物忘れと認知症の見分け方はありますか?

物忘れは、忘れたことを自覚しており、きっかけがあれば思い出せる状態をいいます。
それに対し、認知症の場合は、忘れていること自体を忘れている状態です。

例として、「朝ごはんは何を食べた?」という質問に対して、

■物忘れの場合
朝ごはんを食べた記憶はあり、「何だっけ?忘れちゃった」と言い、忘れた自覚もある

■認知症の場合
朝ごはんを食べた記憶自体がなく、「食べていない」と返答する

認知症の進行を遅らせる方法はありますか?

食事や運動に気を配り、健康的な生活習慣をおくることが大切だといわれています。

また、積極的に人と接する機会を作ることも重要です。
人とほとんど交流がない場合、認知症の発症リスクが8倍になるという調査結果もあるほどです。

認知症の親が寝たきりになった場合でも、在宅介護は続けられますか?

はい、続けられます。

しかし、ご家族による健康管理や医療ケアが必要になるケースも珍しくありません。
負担を軽減できるよう、訪問看護やデイサービスなどをうまく利用しましょう。

詳しくは、以下の記事をご覧ください。

【まとめ】認知症の介護を楽にするなら「ラクカイゴ」

認知症と診断されても、在宅介護は十分に可能です。
介護度が進んでも、自宅でご家族が介護を続けるケースは多くみられます。

しかし、認知症の在宅介護は、ご家族の負担が大きいことでも知られています。

認知機能が低下して徘徊や暴言といった問題行動があらわれると、対応に苦労することもあるでしょう。
また、コミュニケーションが取りにくくなり、思い通りに進まない介護にイライラすることもあるかと思います。

在宅介護を長く続けるためにも、認知症と診断を受けた場合は要介護申請を行い、さまざまな介護サービスを活用してください。
訪問介護やデイサービス、訪問看護などのサポートを積極的に受けることで、ご家族の負担を軽減し、介護を無理なく続けられるのです。

また、この記事内では紹介できませんでしたが、見守りシステムや看護師の資格を持った家政婦など、認知症の介護をサポートする便利なアイテムやサービスを活用することもおすすめです。

ラクカイゴのWebサイトでは、トップページのカテゴリから介護に関する悩みを選択すると、あなたの介護を楽にするサービスを見つけられます。

\ 介護を楽にするなら /

最後までご覧いただきありがとうございました。

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