この記事は、以下のような方にオススメです。
- 施設に入所するか、在宅で介護するかを迷っている方
- 在宅介護にはどのような負担があるのか事前に知っておきたい方
- 在宅介護の負担を軽減する方法が知りたい方
この記事では、在宅で実際に介護をした家族が感じた「大変なこと」を、ランキング形式で紹介します。
「在宅介護は大変だ」「家族の負担が大きい」と聞いたことがある方も多いでしょう。
親の介護が始まるにあたって、自分に介護ができるのかと不安に感じる方も少なくありません。
今回は、実際に在宅介護を経験した方々が、どのようなことを大変だと感じていたのかを、具体的な事例をまじえてランキング形式で紹介します。
介護で大変なことランキングTOP10
「住み慣れた家で過ごさせてあげたい」「家族でお世話してあげたい」という思いから、在宅介護を考えているご家族も多いでしょう。
しかし、在宅介護は体力的・精神的な負担が大きいことでも知られています。
そのため、在宅介護と施設入所で悩んでいる方も多いかと思います。
ここでは、実際に在宅介護を経験したご家族が、どのようなことを負担に感じていたのかを、ランキングで紹介します。
現場のリアルな声を通して、在宅介護の負担を理解し、準備の参考にしてください。
- 相手とのコミュニケーション
- 排せつの介助
- 精神面
- 時間面
- 食事の介助
- 入浴の介助
- 経済面
- 徘徊
- 身だしなみのケア
- ランキング圏外だけど大変なこと
それでは、1つずつの詳しくみていきましょう。
1位 相手とのコミュニケーション
■事例1
自分なりに毎日がんばって介護をしているのに、父は理不尽に怒鳴ったり、わがままを言います。父のために尽くしているのに、感謝どころか文句ばかりで、とてもつらいです。
■事例2
認知症が進み、会話ができなくなりました。オムツ交換や食事の際に暴れることもあり、思うように進まずイライラしてしまいます。
在宅介護は、家庭という閉ざされた空間で行われます。
ご家族と介護される方が、長時間2人きりで過ごすことも少なくありません。
そのため、コミュニケ―ションが取りにくかったり相手との関係が悪かったりすると、ストレスを感じる方が多いようです。
また、認知症による脳機能の低下が進むと、感情のコントロールが難しくなります。
思うように動かない体へのいらだちから、介護者に辛くあたるケースがよく見受けられます。
2位 排せつの介助
■事例1
父のオムツ交換に、どうしても抵抗感があります。父も申し訳なさそうにしており、そんな姿を見ると、毎回やるせない気持ちになります。
■事例2
排せつ物の処理がどうしても苦手です。生理的に受け付けず、何度やっても慣れません。
排せつのサポートは、においや見た目への抵抗感から、苦手に感じる方が多い介助です。
親やパートナーなど親しい家族だからこそ、気まずさを感じることもあるでしょう。
また、認知機能が低下すると、トイレの失敗が増えます。
着替えや汚れた寝具の取り換え、洗濯など、手間がかかり力のいる作業が増え、負担も大きくなるのです。
3位 精神面
■事例1
常に眠くて、疲れています。もう、親の介護がつらくて辞めたいです。でも、そんなこと、誰にも言えず苦しいです。
■事例2
もう6年ほど母の介護を続けています。仕事も辞め、母と二人きりの毎日に限界を感じています。
介護度が進むにつれ、介護にかかる時間は増えるといわれています。
昼夜を問わず介助が必要になり、まとまった睡眠が取りにくくなります。
ゆっくりと休む暇もないため、体力的・精神的な負担が大きくなるでしょう。
介護は長く続きます。10年以上続くケースも珍しくありません。
始めは「自分が我慢すればなんとかなる」と耐えられていても、いつか限界が訪れます。
4位 時間面
■事例1
24時間、土日や平日を問わず続く介護に疲れてしまいました。もう何年も、美容院にも行けていません。
■事例2
とにかく、自分の時間がありません。家にいても、いつ呼び出されるか常にピリピリしています。
在宅介護が始まると、生活リズムは介護される方を中心にまわります。
徘徊などの症状がある場合は、つきっきりの介護を求められるため「自分の時間が取れない」といった悩みを抱える方も少なくありません。
また、ケアマネジャーや施設とのやり取りで、時間を取られることがストレスに感じるといった声もありました。
面談や書類申請などで平日の対応を求められることも多く、仕事との両立に悩むケースも多いようです。
5位 食事の介助
■事例1
飲み込みやすい料理を、わざわざ家族とは別で作らなくてはならず、手間がかかり大変です。がんばって作っても「気に入らない」と残されてしまうことも多く、ワガママな態度にストレスを感じています。
■事例2
1口ずつスプーンで運んでいるのですが、食べるのが遅くてイライラします。洗濯やお風呂掃除、オムツ交換など、やることがたくさんたまっているので、待つのが苦痛です。
食事の手間は、介護度によって大きく変わります。
自力で食べられない場合は、1口ずつ口に運ぶサポートが必要になるでしょう。
また、嚥下機能が低下している場合は、食材を細かく刻んだりとろみをつけたりといった一手間が求められます。
食事の介助では、誤嚥にも注意が必要です。
姿勢が崩れていたり、飲み込みにくかったりすると、食べ物が気管に入り込み、肺炎を引き起こすリスクがあるのです。
そのため、食事の際はきちんと食べられているか見守る必要があり、時間と手間がかかることから、ストレスを感じる方が多いようです。
6位 入浴の介助
■事例1
体重が重い父の入浴介助は、本当に大変です。浴室が狭く動きにくいため、腰を痛めるのもしょっちゅうです。
■事例2
お風呂で母を立たせようと力を入れた時に、すべって転倒したことがあります。母も一緒に転んでいたらと思うと、ゾッとします。
入浴のサポートは、浴室への移動や服の着脱、体の洗浄や浴槽への移動など、体を支えたり中腰になったりする場面が多く、体力的な負担が大きい介助です。
さらに、浴室内は自由に動けるスペースが限られており、無理な姿勢でサポートを行うことが多く、腰や膝を痛める原因にもなります。
介護される方にとっても、水や洗剤で滑りやすく、転倒やケガなどの事故が起こりやすい場所です。
溺水やお湯を誤飲するリスクもあることから、介護サービスを利用してプロに任せる方が多いようです。
7位 経済面
■事例1
親の貯金があったので、仕事を辞めて在宅介護を始めました。思ったよりも長引いてしまい、もう7年目。貯金が無くなりそうで不安です。
■事例2
一人っ子なので、介護費用は全額自分が負担しています。家では介護、日中は仕事。がんばって稼いでも、自分の生活はカツカツで…。つらいです。
介護は突然始まることが多く、「親の介護に備えて貯金している」という方は、あまり多くないでしょう。
しかし、介護にはお金がかかります。
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、在宅介護にかかる費用の平均は、月約4.8万円だそうです。
上記に加え、自宅の改修や介護用品の準備など、介護を始める際に一時的にかかる出費は、平均約74万円となっています。
在宅介護のために仕事を辞めたり、パートになったりする「介護離職」も多く、経済的な負担を増やす一因になっています。
8位 徘徊
■事例1
私が買い物に行った隙に、認知症の母が外に出てしまいました。足腰が弱っており、転倒してケガだらけに…。それからというもの、怖くて外出できません。
■事例2
認知症の父が、深夜になると徘徊して騒ぎます。ただでさえ介護で睡眠不足なのに、体力がもちません。
徘徊とは、記憶障害や見当識障害によって自分のいる場所がわからなくなり、歩きまわってしまう認知症の症状です。
警視庁によると、2023年度の認知症による行方不明者は1万9000人以上にのぼり、そのうち500人以上が亡くなって発見されているそうです。
鍵をかけていても、自分で開けて出ていってしまうケースも多く、24時間つきっきりの見守りが求められるため、介護者の精神的負担ははかり知れません。
9位 身だしなみのケア
■事例1
母が身だしなみへのこだわりが強く、毎日のメイクやヘアカラーなどを求められて困っています。こっちは日々の介護で大変なのに、忙しい中で仕事を増やされて、モヤモヤしています。
洗顔や爪切り、耳掃除といった身だしなみのケアは、清潔を保つ上で重要なサポートです。
また、メイクやヒゲ剃りなどの見た目に関するケアは、介護される方の気持ちを前向きにし、生活の質を向上させる効果も期待されます。
しかし、身だしなみのケアは、生活にどうしても必要なことではないため、介護で忙しいご家族にとっては負担に感じることもあるようです。
ランキング圏外だけど大変なこと
介護で感じる負担は、介護される方の症状や性格によって、大きく異なります。
在宅介護をするご家族の数だけ、大変さや悩みがあるのです。
ランキングには入りませんでしたが、その他にもさまざまな悩みが寄せられていました。
ここでは、ランキング圏外だけど大変なことを2つご紹介します。
通院の付き添い
病院への付き添いは、薬の管理や病状の把握において必要不可欠です。
しかし、診療回数や通院先が増えると、付き添いも大きな負担になります。
平日のみ診療をしている病院が多く、移動や待ち時間などで半日以上かかることもあり、仕事との両立に悩む方が多いのです。
設探しやケアマネジャーとのやり取り
施設への入所を検討し始めると、まず施設探しが始まります。
施設探しでは、見学や面談、審査などで時間を取られることが多く、入居まで平均1〜3ヵ月ほどかかると言われています。
また、入居に必要な書類の中には、平日の役所でしか取得できない物もあり、「入所準備で有給を使いきってしまった」という話も少なくありません。
在宅介護の大変さや家族の悩みを減らす方法
ここまでは、在宅介護に対してご家族が感じた負担や大変なことについて、ランキング形式で解説してきました。
介護にはさまざまな負担があることがわかりました。
しかし、「私が我慢すればいい」と、1人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
無理な介護は、いつか限界が訪れます。
在宅介護を長く続けるためにも、ご家族の負担をいかに軽減するかが重要なのです。
ここからは、介護の負担を軽減するための具体的な方法を、3つ紹介します。
精神的・体力的な負担でお悩みの方
- 介護サービスを利用する
- 介護を楽にする便利なアイテムを使う
経済面でお悩みの方
- 給付金や補助金を利用する
介護サービスや便利なアイテムを使うことに、後ろめたさを感じる方もいるでしょう。
しかし、時にはこうしたサポートを利用して「手を抜く」ことも重要なのです。
在宅介護は負担が大きく、「親の介護がつらい」「介護がしんどい」と感じるのは、誰もが持つ自然な感情です。
介護サービスを利用する
在宅介護で利用できる介護サービスを、合計6つ紹介します。
自宅で受けるサービス | 特徴 |
---|---|
訪問介護 | 食事や入浴、排せつなどのサポ―ト 洗濯や掃除など生活に必要な家事 |
訪問入浴 | 看護師と介護士による入浴サービス 専用の浴槽を運び入れて行われる |
訪問リハビリ | 理学療法士や作業療法士による機能訓練や生活動作のリハビリ |
施設で受けるサービス | 特徴 |
---|---|
デイサービス | 食事や入浴、排せつなどのサポ―ト リハビリやレクリエーションの提供 |
リハビリテーション | 理学療法士や作業療法士による機能訓練や生活動作のリハビリ |
ショートステイ | 病気などで家族による介護が難しい場合、一時的に施設に入所できる |
これらのサービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。
詳しくは、市区町村にある地域包括支援センター窓口にご相談ください。
こちらの記事では、在宅介護で悩んだときに相談できる窓口を5つ紹介しています。
給付金や補助金を利用する
介護による貧困や介護破産は、深刻な社会問題となっています。
そのため、自治体や国は、介護に関する給付金や補助金の制度を整えてきました。
以下で、代表的な制度を4つ紹介しますので、参考にしてください。
介護に関する制度 | 特徴 |
---|---|
家族介護慰労金 | 1年間、介護サービスの利用や入院がない場合に支給 |
介護休業給付金 | 家族を介護するために仕事を休んだ場合、支給される給付金 ※職場復帰が前提となります |
居宅介護住宅改修費 | 介護を目的として自宅をリフォームする際に出る補助金 |
高額医療費制度 | 入院などで医療費が高額になった際、一定の金額以上の支払いを免除される制度 |
給付金や補助金の詳しい申請方法については、担当のケアマネジャーにご相談ください。
介護を楽にする便利なアイテムを使う
「介護負担に悩むご家族を助けたい」という思いから、介護を楽にするさまざまなアイデアグッズが開発されています。
実は、知られていないだけで「杖を使ったら、自力で歩けるようになった」など、便利なアイテムが自立につながるケースもよくあるのです。
介護保険やレンタルを利用できる商品も多く、経済的な負担が少ない点も魅力です。
こちらの記事では、在宅介護の必需品やあると便利なグッズを紹介していますので、ぜひご覧ください。
在宅介護の経験が長い人に相談する
介護に悩みはつきものです。在宅介護をするほとんどの方が、悩みを抱えています。
しかし、在宅介護は、家という閉ざされた空間で行われるため、相談できる人が少なく、孤独感から悩みをため込む方が少なくありません。
また、家族の介護を「ツライ」「やめたい」と思っていることに後ろめたさを感じ、人に相談しにくいという特徴もあります。
このように、知り合いや家族に介護のことを話しにくいと感じている方は、専門の窓口に相談するのがよいでしょう。
専門家に相談することで、解決の糸口が見つかることも珍しくありません。
介護についての相談を受け付けている窓口を4つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
介護の相談窓口 | 特徴 |
---|---|
地域包括センター | 介護全般に関する相談 介護を始めるにあたっての相談 |
市役所の介護相談窓口 | 介護全般に関する相談 書類申請や手続きの相談 |
居宅支援事業所 | 介護サービスや施設を利用する際の相談 |
医療機関 | 病気を抱える方の介護相談 |
悩みは、話して吐き出すことで、ストレス発散につながります。
誰かに聞いてもらうだけで、心が救われることもあるのです。
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【Q&A】よくある質問
- 在宅介護のメリットとデメリットを教えてください。
-
在宅介護は、住み慣れた家で家族と生活を続けられるため、精神的に安定した生活が送れます。
また、施設介護に比べ費用を抑えられるという点もメリットです。デメリットとしては、介護をするご家族の負担が大きい点が挙げられます。
また、専門家によるケアと比べ、転倒や誤飲などのリスクが高いことも指摘されています。 - 親の介護費用は、誰が負担するのが一般的ですか?
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親の貯金や資産、年金などからまかなうのが一般的です。
不足する場合は、兄弟で分割して払うことがあります。 - 在宅介護を始めるにあたって、必要なことはなんですか?
-
まずは、お住まいの市区町村に申請し、要介護認定を受けてください。
その後、ケアマネジャーと契約をし、在宅介護を始めるためのプランを作成します。
【まとめ】在宅介護を楽にするなら「ラクカイゴ」
今回は、実際に介護をしてきた方が、具体的にどのような点に大変さを感じたかについて、ランキング形式で紹介しました。
事前にどのような負担があるのかを理解しておくことで、心構えや介護の準備に役立ててください。
在宅介護には、さまざまな負担がかかります。
しかし、時間や心、経済面の余裕は、心のゆとりにつながります。
住み慣れた自宅で、家族そろって穏やかに過ごすためにも、介護サービスや給付金などを活用して負担を軽減していきましょう。
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最後までご覧いただきありがとうございました。