「介護記録ってどんな書き方が正しいの?」と悩む方は少なくありません。
介護記録の書き方をマスターすれば、効率的な記録作成が可能になり、チーム内のコミュニケーションもスムーズになります。
今回の記事では、介護記録の例文や分かりやすい書き方について詳しくご紹介していきます。
介護記録とは?
介護記録とは、ケアの内容や利用者の状態、変化を記録するものです。
介護保険法に基づき、介護サービスの提供過程を正確に記録することが必要になります。
介護記録の重要性
介護記録は、3つの重要な役割を担っています。
まず1つ目に、利用者に対して適切なケアを提供するための情報源として活用されます。
毎回のケアを記録することで、利用者の健康状態や生活状況を把握できるため、ケアプランの評価に役立てることが可能です。
次に2つ目として、介護記録はスタッフ間の情報共有に役立ちます。
記録を通じて利用者の状態を適切に把握することで、効率的なケアを提供できるでしょう。
最後に3つ目は、利用者やその家族とのコミュニケーションにおいて有効です。
丁寧に介護記録を書くことで、介護について詳しくない家族でも安心感を得られます。
介護記録を正確に書くことで、利用者や家族に適切なケアを提供することができるのです。
介護記録の基本的な構成
介護記録の基本的な構成は、主に以下の要素から成り立っています。
それぞれの構成におけるポイントをきちんと理解することで、分かりやすい介護記録を書くことが可能です。
- 日付と時刻:記録がいつ作成されたかを記述し、ケアの進行状況を明確にします。
- 利用者の基本情報:次に記載するのが、氏名や生年月日、性別などの基本情報です。他には、アセスメントの結果やケアプランに基づく介護サービスの提供内容、利用者の反応も含まれます。
- 利用者の状態:利用者の身体状態、生活環境などを詳しく記載しましょう。利用者の状態を正確に書き残すことは、ケアプランを評価する際に役立ちます。
- スタッフの見解:スタッフが利用者を観察した上で気づいたことを書くことも重要です。直接コミュニケーションをとったスタッフでしか感じ取れないことも含めて今後の対応を考えることができます。
- 家族とのコミュニケーション:利用者の家族とのコミュニケーション内容や会話の中で得られた情報を記載します。
わかりやすい介護記録の書き方
わかりやすい介護記録を書くために、意識すべき点を3つご紹介します。
- 具体的な記述:曖昧な表現では見る人によって解釈が異なってしまいます。そのため、具体的な表現を用いて、ケアの内容や利用者の状態を正確に伝えるようにしましょう。
- 客観的な推測:利用者の状態や変化を客観的に観察し、発見した点などを記載します。利用者や家族では気づくことができない違和感を読み取ることは、効果的なケアを提供するために必要です。
- 一貫性のあるフォーマット:介護記録は誰が読んでも分かりやすい文章であることが求められます。例えば「文体はですます調」「結論から書く」などのようにフォーマットを統一することで、読み手は情報を整理しやすくなるのです。
上記の3つのポイントを踏まえて、分かりやすい介護記録を書きましょう。
介護記録での情報共有がスムーズになれば、利用者に最適なケアを提供できるようになります。
【場面別】介護記録の例文
個別対応が求められるケース
利用者A(以下、Aさん)は、認知症が進行しており、一人での移動が困難です。
スタッフがAさんに声をかけ、リハビリの目的や効果について説明しました。
説明を聞いた後、Aさんは納得し、リハビリに参加しました。リハビリ中、Aさんは時折笑顔を見せ、スタッフとコミュニケーションを取りながら、運動を行いました。
リハビリが終わった後、Aさんは疲れた様子でしたが、達成感を感じているようでした。
この例文では、Aさんの状況やスタッフの対応が具体的に記述されており、個別対応の様子が分かりやすく記載されています。
また、Aさんの感情やリハビリの様子も記録されているため、後から振り返る際にも、その当時の状況を把握しやすくなります。
チームでの連携が重要なケース
利用者B(以下、Bさん)は、介護度4で車椅子利用者です。
そのため、Bさんを介助する際は、褥瘡予防のために定期的な体位変換を心がけるようお願いいたします。
特に、Bさんは体位変換器を用いた体位変換を好まれています。
スタッフ間の連携が明確にケアされており、チームでのケアが求められる場面における良い例です。
チーム全体で具体的な情報共有ができると、利用者に合わせた適切なケアを行うことが可能になります。
緊急時の対応ケース
緊急時の対応が必要な場面では、介護記録には迅速な対応と明確さが求められます。
以下にそのような場面での例文を示します。
2023年◯月◯日10:00に緊急事態発生。Aさんが倒れ、意識レベル低下。急いで病院に連絡。スタッフと共にAさんの気道を確保し、状況を観察しながら10:15に救急隊到着。救急隊にAさんの状態と経過を伝える。その後、救急隊がAさんを◯◯病院へ搬送。」
この例文では、発生した緊急事態について明確かつ簡潔に記載しています。
誰がどのように対応したかを具体的に示しつつ搬送先も記載することで、後から見た人でも当時の状況をしっかりと理解できます。
夜勤時の介護記録の例文
夜勤時の介護記録のテンプレート
夜勤時の介護記録では、夜間に発生した出来事や状況変化を明確に記録することが重要です。
「2023年◯月◯日22:00に夜勤開始。入居者全員安定して就寝。定期巡回を実施。
23:30にCさんのトイレ介助。その後快適に就寝。
2023年◯月◯日01:00にDさん、寝返りで布団が剥がれ、寒さで目を覚ます。布団を整えて再び就寝。
03:00にEさんの布団の位置を調整し、呼吸が落ち着くまで見守る。
05:00にFさん、早朝のトイレ介助。その後、問題なく就寝。
07:00に夜勤終了。
夜勤開始・終了時刻を記載することで、他のスタッフとの連携がスムーズに進みます。
夜勤時の記録で注意すべきポイント
夜間の介護記録では、以下の3点に注意して介護記録を書きましょう。
- 時間を記録:夜勤中に発生した出来事や介助内容を時間順に記録することで、状況が分かりやすい介護記録になります。
- 入居者の状態を詳細に記述:夜間には入居者の様子が変わるため、少しの気づきも丁寧に記載することが重要です。
- 緊急対応を明確に記載:夜間に緊急対応が必要な場合、対応内容や連絡事項を明確に記録しましょう。次のスタッフが適切な対応をできるかどうかという観点から考える必要があります。
夜勤時の介護記録は、入居者の安全確保やスタッフ間の連携のために必須です。
上記のポイントを押さえて、分かりやすい介護記録を書けるようになりましょう。
まとめ
本記事では、介護記録の書き方や例文について詳しく解説しました。
以下の3つのポイントを押さえることで、効果的な介護記録が書けるようになります。
- 介護記録の基本的な構成を理解し、必要事項を網羅的に記載する。
- 個別対応が求められる場面やチームでの連携が必要な場面において、具体的な内容を記録する。
- 夜勤の場合、時間順に記録し、入居者の状態や緊急対応を詳細に記載する。
この記事で紹介した介護記録の書き方や例文を参考に、介護記録を記述するスキルを向上させましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。