この記事は、以下のような方にオススメです。
- 高齢者が骨折しやすい原因を知って予防につなげたいご家族
- 高齢者向けの骨折予防グッズを探している方
- 高齢の家族が骨折し、寝たきりにならないか不安なご家族
この記事では、高齢者の骨折について詳しく解説します。
「高齢者が骨折し、そのまま寝たきりになってしまった」という話を耳にしたことはありませんか?
厚生労働省が令和4年に実施した「国民生活基礎調査」によると、介護が必要になった主な原因として「骨折・転倒」が13.9%を占めているそうです。
高齢者は運動能力やバランス感覚の低下により、つまずきやすく、軽い転倒でも骨折につながることがあります。
そのため「親が骨折しないか心配」と不安を感じているご家族も多いでしょう。
この記事では、高齢者に多い骨折の種類やリスク、入院期間や入院費用などについて詳しく解説します。
高齢者は骨折しやすい

若い世代であれば軽い打撲程度で済むような転倒でも、高齢者の場合は骨折につながるケースが少なくありません。
歳を重ねて骨がもろくなっているため、転んで軽く手をついたり、重い物を持ち上げたりといった軽い圧力でも骨折してしまうのです。
また、回復までに時間がかかる点も、高齢者の骨折に見られる特徴のひとつです。
特に足や背骨などを骨折した場合、ベッドでの安静期間が必要になるでしょう。
しかし、長期間の安静状態が続くと、心身のさまざまな機能が低下する「廃用症候群」を発症するリスクが高まります。
その結果、認知症や肺炎など、さまざまな病気にかかりやすくなってしまうのです。
骨折が増える原因は体の変化
高齢者が若い世代と比べて骨折しやすい原因は、体の変化にあります。
「骨粗しょう症」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。
これは、骨の強度を表す骨密度や骨質が低下し、骨が折れやすくなっている状態を指します。
高齢者が骨粗しょう症になりやすい原因は、以下の通りです。
- 骨の新陳代謝のバランスが崩れている
- 食事量が減少し、カルシウムやビタミンD、ビタミンKが不足する
- 運動が不足し、骨に十分な負荷がかかっていない
女性ホルモンが骨吸収を抑える働きをするため、女性は特に注意が必要です。
70歳代女性の2人に1人が骨粗しょう症にかかっているというデータもあります。
参考:金沢大学整形外科「骨粗鬆症(骨代謝疾患)」
高齢者に多い骨折は4種類

高齢者には、「四大骨折」と呼ばれる、骨折が起こりやすい箇所があります。
骨折が起こりやすい箇所は、以下の4つです。
- 大腿骨近位部骨折:太ももの付け根部分。尻もちや、つまずいた際の衝撃で起こる。
- 上腕近位部骨折:腕のつけ根や肩の部分。転倒時、手やひじをついて受け身を取ったり、肩をぶつけることで起こる。
- 橈骨遠位端骨折:手首の部分。転倒の際、手をついた衝撃で起こる。
- 腰椎圧迫骨折:腰骨や背骨の部分。尻もちをついた際の衝撃で、圧迫されて起こる骨折。骨粗しょう症の場合は、くしゃみなどの軽い衝撃で起こることも。
このように、ほとんどの骨折は、転倒やそれをかばうための受け身が原因で起こっています。
高齢者の骨折は寝たきりや死亡率上昇のリスクも!
高齢者の場合、若い世代と比べて回復力が低下しており、骨折の治療が長期化する傾向にあります。
体力も低下しているため、リハビリにも時間がかかるでしょう。
入院や安静期間が長く続くと、筋力の低下から歩行が困難になり、介護が必要になることも少なくありません。
さらに、回復して歩行可能になった場合でも、転倒や骨折への恐怖から外出を控えてしまう「閉じこもり」になるケースがあります。
この状態が続くと、運動機能の低下や社会的孤立などを引き起こし、認知症や寝たきりのリスクが高まるのです。
また、骨粗しょう症が原因となって何度も骨折を繰り返す「二次骨折」にも注意が必要です。
骨折すると長期間の安静が必要となり、運動量が減少します。その結果、骨密度が低下し、骨折を繰り返してしまうのです。
骨折の治療が終わった後も、骨粗しょう症の治療やリハビリ、転倒防止対策などを継続して行うよう心がけましょう。
高齢者が骨折で入院したらどうなる?

高齢の親が骨折で入院することになり、不安に感じていませんか?
「これからどうなってしまうの…」と、戸惑っている方も多いかと思います。
高齢者の骨折は、治療だけでなくリハビリにも時間がかかるため、入院が長期にわたるケースも珍しくありません。
また、退院後の生活に影響が出ることも考えられます。
ここからは、高齢者が骨折で入院した場合の流れや費用、その後の生活について、詳しく解説します。
具体的に解説するのは、以下の内容です。
- 入院費用や入院期間はどれくらい?
- 1年後に以前と同じくらいまで回復するのは約半数
- 退院後の1人暮らしは回復次第
入院費用や入院期間はどれくらい?
入院費用は、食事代や個室を希望するかなどによって差がありますが、骨折による入院の場合、1日あたりの自己負担額平均は13,962円です。
入院期間が長期化したり、大きな手術で医療費が高額になったりする場合は、自己負担限度額を超過した分が払い戻される「高額医療費制度」を利用しましょう。
入院期間については、骨折した部位やその程度によって変わります。
骨折部位 | 入院期間 |
---|---|
大腿骨近位部骨折 (太もものつけ根) | ・手術した場合は約2~4週間ほどで退院 ・持病や体力の問題で手術が難しい場合は、数ヶ月の安静が必要 |
上腕近位部骨折 (腕のつけ根や肩) | ・手術が必要ない場合は自宅で安静 ・手術した場合は約2週間ほどで退院 |
橈骨遠位端骨折 (手首) | ・安静で治る場合は自宅療養 ・手術した場合は数日~2週間ほどで退院 |
腰椎圧迫骨折 (腰骨、背骨) | ・自宅療養が基本だが、動けないほど痛みが激しい場合は入院も可能 ・安静にして、約2~4週間ほどで退院 |
1年後に以前と同じくらいまで回復するのは約半数

高齢のご家族が太ももの付け根や背骨を骨折し、「歩けるまで回復できるだろうか」と不安に感じている方も多いでしょう。
結論から言うと、手術やリハビリを受けても、1年後に以前と同じくらいまで回復できる高齢者は、約半数と言われています。
参考:朝日新聞Reライフ.net「65歳以上の日常生活での事故による救急搬送、8割が転倒 骨折は寿命を左右します」
腕や手首の骨折とは異なり、太ももの付け根や背骨の骨折は、ベッドでの安静が必要となります。
入院期間も延びやすく、筋力が低下してしまい、リハビリ期間が終わった後も歩けるまで回復できない方が多いです。
また、背骨を骨折した場合、脳から下半身へつながる神経にダメージを受けることがあります。
その結果、足にまひが残ったり、激しい痛みが続いたりして、車いすや介護が必要になることも珍しくありません。
退院後の一人暮らしは回復次第
退院後、これまで通り一人暮らしできるかどうかは、骨折の箇所や体力の回復具合によって決まります。
特に、リハビリ病院に転院せず自宅に直接退院した場合、治療は終了していますが、骨折が完全に治ったわけではありません。
利き手や足、背骨を骨折した場合は、痛みや安静の必要から、日常生活に不便を感じることも多いでしょう。
さらに、骨折が完治した後でも、体力の低下などの理由から介護が必要になるケースは珍しくありません。
長期間の安静が続くと、認知症を発症するリスクもあり、見守りや日常生活のサポートが必要になることもあるでしょう。
高齢者の骨折を予防する方法は3つ!

ここまでは、高齢者が骨折した場合のリスクや、入院に関して詳しく解説しました。
高齢者の場合、一度骨折すると回復に時間がかかり、寝たきりや認知症のリスクが高まります。
「高齢の親が、最近よくつまずく」「骨がもろくなっていると言われた」と、心配されているご家族も多いのではないでしょうか。
ここでは、高齢者の骨折リスクを下げるための対策を3つご紹介します。
- 骨粗しょう症の予防・治療
- 転倒しにくい環境や体づくり
- 骨折予防グッズの活用
骨折は、予防次第で未然に防ぐことが可能です。
日頃から意識的に対策を行い、安心して過ごせる環境を整えましょう。
骨粗しょう症の予防・治療
骨粗しょう症の予防には、運動療法と食事療法の2つがあります。
スポーツ選手の骨量は、一般人よりも10〜15%ほど高いことが知られています。
骨には、歩いたりジャンプしたりした際の着地による衝撃が刺激となって、強度を増すという特性があるためです。
そのため、スイミングなど着地の刺激が少ない運動では、十分な効果が期待できないでしょう。
また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、食事だけでなく日光を浴びることで体内でも生成されます。
骨粗しょう症の予防には、外で日の光を浴びながらできるウオーキングなどの軽い運動がおすすめです。
骨を強くするためには、バランスのよい食事が欠かせません。
高齢になると、食事量が減って栄養が偏ることで、骨の生成に必要な栄養が不足しがちです。
以下のような食材を、意識的に摂取しましょう。
- カルシウム:乳製品、小魚、大豆製品、海藻類、小松菜など
- ビタミンK:ほうれん草、ブロッコリー、納豆など
- ビタミンD:キノコ、卵黄、魚介類など
また、万が一骨粗しょう症と診断を受けても、薬による治療が可能です。
転倒しにくい環境や体づくり
公益社団法人日本理学療法士協会が発行する「理学療法ハンドブック」によると、65歳以上の3人に1人が1年に1回以上転倒し、そのうち3人に2人が何らかのケガをしているそうです。
このデータからもわかるように、高齢者の骨折対策には、転倒そのものを未然に防ぐことが重要です。
まず、自宅や生活環境を見直し、転びにくい空間を整えましょう。
以下のような環境づくりが効果的です。
- スロープなどを設置し、段差をなくす
- コードやカーペットなど、つまずきやすい物を撤去する
- 滑りにくい床材に変更する
また、筋力の低下も転倒を引き起こす原因のひとつです。
足の筋力が衰えると、すり足気味で歩くことが増え、小さな段差でも転びやすくなります。
加えて、バランス能力が低下することも、転倒のリスクが高まる原因です。
転倒防止体操などを取り入れ、筋力維持を心がけましょう。

骨折予防グッズの活用

どれだけ転倒予防対策をしても、事故のリスクを完全になくすことは難しいでしょう。
だからこそ、「転倒しても大きなケガをしにくい環境づくり」も重要になります。
また、食事療法や運動療法は効果が出るまでに時間がかかるため、「今すぐ始められる骨折対策が知りたい」という方も多いでしょう。
以下で、手軽に取り入れられる骨折対策グッズを2つご紹介します。
万が一転倒しても骨折につながりにくいよう予防できるため、ぜひ参考にしてください。
1、歩ける緩衝フロア&マット「ころやわ」
「ころやわ」は、安定した歩行と高い衝撃吸収力を兼ねそろえたフロアマットです。
転倒などの強い衝撃を受けると柔らかくへこんで沈みこみ、骨折や外傷などをふせぎます。
一方で、通常時は固く安定しているため歩行しやすく、車椅子や歩行器、つえの使用も可能です。
マットを敷くだけで設置が完了するため大規模な工事も必要なく、その手軽さから介護・医療施設でも多く導入されています。
「ころやわ」の口コミや料金表は、こちらのページをご覧ください。
2、オシャレに骨折を予防できる「プラスパッドジーンズ」
プラスパッドジーンズは、ヒッププロテクターを組み込んだスタイリッシュなジーンズです。
骨粗鬆症学会や整形外科学会では、転倒による背骨や腰骨の骨折を防ぐため、ヒッププロテクターの着用を強く推奨しています。
しかし、従来のヒッププロテクターは装着の手間や見た目の不格好さから、抵抗を感じる方が少なくありませんでした。
プラスパッドジーンズは、デザイン性の高いジーンズにプロテクターを自然に組み込んでいます。
また、ウエスト部分はよく伸びるゴム製で、生地も柔らかく履きやすいため、装着の手間もありません。
プラスパッドジーンズの紹介動画や、設計した企業の思いなどはこちらのページからご覧いただけます。
【Q&A】よくある質問

ここでは、具体的なケースに即した解説をQ&A形式でご紹介します。
Q、骨折すると余命は短くなりますか?
骨折そのものが原因で、直接的に余命が短くなるケースはあまりありません。
しかし、長期にわたる入院や寝たきりの生活は、体力や心肺機能の低下につながります。
また、肺炎や血栓症など合併症のリスクが高まる可能性もあるのです。
その結果、骨折が間接的に余命を短くするということは考えられるでしょう。
Q、転倒して起き上がれない場合はどうすればいいですか?
強い痛みがあって身体を動かせない場合は、無理に起こそうとせず、そのまま救急車を呼んで速やかに医療機関を受診してください。
Q、高齢者が骨折した場合、早く治す方法はありますか?
骨折を早く治すためには、できる範囲で積極的に体を動かすことが大切です。
体力の低下を防止するだけでなく、血行を促進し、骨の新陳代謝を高める効果が期待できます。
また、栄養バランスの取れた食事も欠かせません。
カルシウムだけでなく、ビタミンやタンパク質もしっかり摂取しましょう。
健康寿命を延ばすなら「ラクカイゴ」

この記事では、高齢者の骨折について詳しく解説しました。
高齢者の場合、骨折がきっかけで、寝たきりや認知症を引き起こすケースも珍しくありません。
また、入院やリハビリにかかる期間が長期化しやすく、体力の衰えなどから、1年後に以前と同じような生活に戻れる方は、約半数と言われています。
そのため、骨折の原因となる転倒を防ぐことや、万が一転倒しても骨折しにくい環境をつくることが大切です。
骨粗しょう症予防や筋力維持に努めるとともに、骨折防止グッズを活用し、安全に暮らせる環境を整えましょう。
ラクカイゴのWebサイトでは、骨折予防グッズ以外にも、高齢者の健康寿命を延ばすグッズについて紹介しています。
以下の公式ページから、介護を楽にするグッズを簡単に見つけることが可能です。
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最後までご覧いただきありがとうございました。