眠れない高齢者の不眠対策を紹介!睡眠障害の原因やリスクについても

この記事は、以下のような方にオススメです。

  • 高齢の親が夜中に何度も目を覚まして困っている方
  • 不眠に悩む高齢者へのアドバイスを探している方
  • 高齢者が夜寝ないことで健康への影響が心配な方

この記事では、高齢者の睡眠障害についてわかりやすく解説します。

「歳をとると眠りが浅くなる」という話を聞いたことがある方も多いでしょう。
実際、年齢を重ねると、さまざまな原因で睡眠の質が低下すると言われています。

十分な睡眠が取れない状態が続くと、高血圧や糖尿病といった生活習慣病のリスクが高まります。
また、日中の強い眠気が原因で、ふらつきや転倒を引き起こすこともあるでしょう。

生活リズムが乱れると、外出の意欲が低下し、閉じこもりの原因にもなるため、注意が必要です。

今回は、睡眠に悩む高齢者が今すぐ実践できる不眠対策をご紹介します。
あわせて、高齢者が睡眠障害を引き起こす原因やリスクについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

高齢者の不眠とは?

不眠の症状で悩む人は年齢とともに増加し、60歳以上では半数以上が睡眠に悩みを抱えているというデータがあります。(参照元:厚生労働省「不眠症|e-ヘルスネット」)

眠りが浅くなったり、夜中に何度も目が覚めたりすると「何かの病気なのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。
しかし、高齢者が睡眠についての悩みを抱えることは、珍しいことではありません。

とは言え、布団に入ってもなかなか寝付けないのは、どの世代にとってもつらいものです。
「眠れない」という焦りやストレスが、さらに寝つきを悪化させ、睡眠の質を低下させる悪循環を招くこともあるでしょう。

また、不眠には転倒や生活習慣病などのリスクを高めるといったデータもあります。

夜寝ない高齢者の物音が気になり、同居する家族が眠れず困っているという話も少なくありません。
生活音が響きやすいアパートなどではご近所トラブルに発展するケースもあるようです。

たかが「睡眠不足」と軽く考えず、生活環境や習慣を見直し、改善を目指すことが大切です。

睡眠障害の種類

睡眠障害は、大きく4つのタイプに分けられます。

以下のうち、1つ以上の症状が週に3日以上あり、さらに日常生活に支障をきたす状態が3ヵ月以上続く場合、不眠症と診断されます。

種類1:入眠困難

布団に入ってから寝付くまでに30分以上かかり、それを苦痛に感じる状態を入眠困難といいます。

通常、入眠にかかる時間の正常範囲は5~25分とされています。
しかし、高齢者の場合、入眠に平均40分ほどかかるそうです。

このような入眠困難は若い世代にも多く、睡眠障害に悩む日本人の約60%がこのタイプに該当します。

種類2:熟眠障害

熟眠障害とは、十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、目覚めたときに寝不足感が残る状態を指します。
これは、眠りが浅く、脳が十分に休息をとれていないことが原因です。

熟眠障害は、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因で発症しているケースも少なくありません。
寝ている間に発生するため、本人が自覚しにくいのが特徴です。

家族や周囲の人が注意して見守りましょう。

種類3:中途覚醒

一度眠りについたあと、夜中に何度も目が覚めてしまう状態を中途覚醒といいます。

歳を重ねると睡眠のバランスが崩れ、浅い眠りであるレム睡眠の割合が増えます。
その結果、小さな物音で目が覚めたり、特に理由がなくても起きたりしてしまうのです。

また、歳を重ねるとトイレが近くなる方も多く、「トイレのために夜間に目が覚め、その後眠れなくなる」といったケースも多いです。

種類4:早朝覚醒

起きる予定の時刻よりも早く目が覚めてしまう状態を、早朝覚醒といいます。

明確な時間の定義はありませんが、予定より2時間以上早く目覚める場合、早朝覚醒と診断されることが多いようです。
高齢者に多くみられる早朝覚醒は、体内時計が早まることで起こります。

また、眠りが浅いため、朝日や鳥の鳴き声などのわずかな刺激が原因となり、早朝覚醒を引き起こすことも少なくありません。

自分がどのタイプの睡眠障害なのかを理解することで、適切な対策が見えてくるでしょう。

高齢者が眠れない原因

高齢者に不眠が多くなる原因は、大きく分けて3つあります。

まず1つ目の原因は、睡眠を促進するホルモン「メラトニン」の分泌量が年齢とともに減少するためです。

メラトニンは、心身をリラックスさせ入眠を助ける役割を持っています。
このホルモンが減少することで、睡眠リズムが崩れやすくなり、寝付きに時間がかかるようになるのです。

また、メラトニンは睡眠の質にも大きく関わっており、減少すると、浅い睡眠であるレム睡眠の割合が増加します。
「長時間眠っても疲れがとれない」「寝た気がしない」など睡眠の満足度が下がるのは、このためです。

2つ目の原因として、運動不足があげられます。

睡眠には、日中の活動で疲れた体や脳を休ませ、回復させる役割があります。

しかし、体力面の不安や交友関係の減少から、一日のほとんどを自宅で過ごす高齢者が少なくありません。
疲労が蓄積されなければ、体は休息を必要としないため、短時間の睡眠で目が冷めてしまうのです。

3つ目の原因は、薬による影響です。

薬の中には、眠りを妨げる副作用をもつものがあります。
また、「眠りにくくなる」という副作用を持たなくても、頻尿やかゆみ、疼痛などを引き起こし、結果的に睡眠の質を低下させるケースも少なくありません。

歳を重ねると、持病を抱える方が増え、服薬の量も増える傾向があります。
もし薬が原因と考えられる場合は、別の薬に変えられないか医師に相談してみましょう。

高齢者が夜寝ないことで生じるリスク

眠くないのなら、無理に寝なくてもいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、高齢者が夜寝ないことで生じるリスクもあるのです。

睡眠不足が続くと、以下のような病気のリスクが高まる可能性があります。

  • うつ病
  • 認知症
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 肥満症など

さらに、睡眠障害は転倒のリスクも高めます。
実際、転倒の約3割は、夜間のトイレが原因だと言われているのです。

夜中に目が覚めると「再入眠したい」という思いから、間接照明で過ごす方も多いでしょう。
その結果、トイレなどで立ち歩く際に足元が見えづらくなり、つまずきや転倒が起きやすくなるのです。

高齢の場合、ささいな転倒でも骨折や寝たきりに繫がるため、特に注意が必要です。

脱水対策や脳梗塞予防で、眠る前に水分摂取する高齢者も多いですが、過剰な水分は夜間のトイレに繫がります。
眠る前の水分摂取は、コップ1杯程度にとどめるよう注意しましょう。

今すぐ始められる高齢者の不眠対策を4つ紹介!

ここまでは、高齢者が眠れない理由や不眠によるリスクについて解説しました。
ここからは、今すぐ始められる「高齢者の不眠対策」を4つ紹介します。

年齢を重ねると、必要な睡眠時間は減少すると言われています。
「日中、眠くなることはない」「朝、すっきりと目覚められる」など、十分な睡眠が確保されていれば、それほど心配することはありません。

それでも、寝付けない夜が続いたり何度も夜中に目が覚めたりするのは、気分が良いものではありません。

以下で紹介する不眠対策を取り入れて、改善を目指しましょう。

  • 適度な運動をする
  • 食事を改善する
  • 環境を整える
  • 不眠対策グッズを取り入れる

すぐに始められる対策ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。

適度な運動をする

適度な運動は、脳と体を刺激し、睡眠を促します。

できれば、散歩など外での軽い運動がおすすめです。
外出して日の光を浴びることで、睡眠を促すメラトニン生成の効果が見込まれます。

また、四季の移り変わりや音、風、香りなどさまざまな刺激を受け、脳の活性化も期待できます。
近所の方との世間話やあいさつといったコミュニケーションも生まれ、良い刺激となるでしょう。

ただし、激しい運動や就寝直前の運動は、自律神経を興奮させるため逆効果になってしまいます。
夕方に、散歩やストレッチ、体操などの軽い有酸素運動を取り入れると良いでしょう。

食事を改善する

睡眠と食事の関係については、意識していない方も多いかもしれません。

しかし、2024年に東北大学が約1300人の高齢者を対象に調査を行ったところ、野菜・大豆製品・果物をよく摂取する高齢者は、不眠症状になる割合が低いことがわかりました。

メラトニンの材料となる「トリプトファン」は体内で生成できず、食事から摂取する必要があります。
そのため、トリプトファンを多く含む食べ物を摂取していたかどうかが、このような結果につながったと考えられます。

また、トリプトファンにはリラックス効果もあるため、不眠対策として一石二鳥の成分です。

トリプトファンは、乳製品や大豆製品、バナナなどに多く含まれています。
また、メラトニンの生成には、ビタミンも必要となるため、野菜なども一緒に摂取すると、より効果的です。

トリプトファンからメラトニンが生成されるには14〜6時間ほどかかるため、朝食でこれらの食材を取り入れるとよいでしょう。

環境を整える

ぐっすりと気持ちよく眠るために、睡眠環境を整えましょう。

例えば、遮光カーテンなどで朝日が入らないよう工夫したり、乾燥対策に加湿器を利用したりすることで、睡眠を妨げる要因を無くすことが大切です。

また、寝具選びも重要です。
体にあった枕やマットレスを使用することで、睡眠の質が向上するだけでなく、睡眠時無呼吸症候群の予防にもつながります。

さらに、就寝にむけて心身を整えることも重要です。

眠る前には、オルゴールミュージックやヒーリングミュージックを流したり、軽い読書をしたりしてリラックスしましょう。
スマートフォンのブルーライトは、交感神経を興奮させ目がさえてしまうので、就寝前は避けてください。

また、照明の種類にも注意が必要です。
明るい環境ではメラトニンの分泌が低下するため、就寝1時間前から間接照明を使用し、落ち着いた雰囲気をつくるとよいでしょう。

「部屋が薄暗いと、転倒が心配」という方は、フットライトなど足元だけを照らす照明を導入すると安心です。

不眠対策グッズを取り入れる

運動や食事の改善は、ちょっと面倒…」という方は、高齢者向けの不眠対策グッズを取り入れてみてはいかがでしょうか。

眠りの状態をモニタリングできる機器や、快適な睡眠環境をサポートする寝具など、さまざまなアイテムが開発されています。
以下で、オススメの不眠対策グッズを3つ紹介しますので、参考にしてみてください。

1、眠りSCAN

眠りSCANとは、睡眠中の体動(寝返り、呼吸、心拍など)を測定するシステムです。

睡眠時の呼吸などを検査する場合、専用の機器を体に装着して測定するのが一般的ですが「気になって、いつも通り眠れない」という声も少なくありません。
眠りSCANは、普段使用しているマットレスや敷布団の下に設置できるため、いつもと変わらない環境で検査できる点が特徴です。

パソコンを使ってリアルタイムでモニタリングできるため、ご家族や施設での夜間見守りにも便利です。

利用した方の口コミ

自分では気づかなかった眠りの浅い時間や心拍数の増加がはっきりと見えることで主治医に相談できるようになり、とても安心です。

呼吸数や心拍数を測定・記録できるので、体調変化に気づけるようになり、病気の早期発見が可能になりました。

自分の身体の様子は自分ではわからないものだと思いました。
これからも眠りの状況を見てもらいたいと思っています。

「眠りSCAN」について詳しく解説した記事はこちらです。

2、活活・睡睡

活活・睡睡とは、質の高い睡眠をサポートし、1日のリズムを整える効果が期待できるアロマです。
昼は爽やかな香りで心身を活性化させ、夜は穏やかな香りでリラックスへと導きます。

このように、アロマの効果を取り入れることで、日中をいきいきと過ごし、夜は深い眠りにつく習慣を身につけやすくなります。継続することで、自然に生活リズムが整うでしょう。

パッチタイプであれば、衣類に貼るだけで手軽に使用できるため、特別な知識や設備がなくても簡単に取り入れられます。低コストで導入しやすい点も魅力です。

利用した方の口コミ

「最近よく寝ている」との声があり、日中の活動量も増えている様子です。

使用開始日より著明に就寝時間が早くなり、入眠時間も大きく増えています。

日中のレクリエーション等にも意欲的に参加し、表情もにこやかになりました。

「活活・睡睡」について詳しく解説した記事はこちらです。

3、TECOREA

寝具は、入眠のしやすさや睡眠の質に大きく影響を与えると言われています。

厚生労働省によると、睡眠時における理想的な寝具の状態は、温度33度・湿度50%だそうです。
「眠かったのに、冷えた布団に入った途端に目が覚めてしまった」という経験がある方も多いでしょう。

TECOREAは、マットレスの内部に自然の風を循環させる、エアコン付きマットレスです。
温風・除湿の機能がついており、寒い冬や湿度の高い梅雨でも理想的な状態に整えるのです。

また、高温風機能もついており、アトピーやぜん息の元となるカビやダニの対策ができる点も魅力です。
体のかゆみやセキで夜中に目が覚めてしまう方は、ぜひチェックしてみてください。

利用した方の口コミ

これほどすごい機能を持ったマットレスを見たことがないです。
これはインパクトがあるため、売れそうですね、魅力的です。

エアコンだと乾燥で喉が痛くなることもありますが、「TECOREA」があればエアコンは要らず、節電にもなりますね。

湿度で夜中に起きることもありましたが、送風モードで空気を常に循環させると、自然と深い睡眠が取れ、朝まで快適に眠ることができました。

「TECOREA」について詳しく解説した記事はこちらです。

【Q&A】よくある質問

高齢者にとって理想の睡眠時間はどれくらいですか?

高齢になると、運動量や生活環境の違いから、必要な睡眠時間に個人差が生じます。
そのため、あまり時間にとらわれすぎず、スッキリと目覚められ、日中に眠気で困らないようであれば、睡眠は足りていると考えましょう。

厚生労働省が2023年に発表した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、高齢者の場合は睡眠時間が短いことよりも、長時間床にいることの方が健康リスクを高めることが明らかになっています。

「眠れないけれど、決まった時間になったら布団に入る」「早く目が覚めても、ベッドでじっと過ごす」という方は、注意が必要です。

高齢者が眠れない時に飲める、薬や漢方はありますか?

薬局で手軽に購入できる薬や漢方を、いくつか紹介します。

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薬の種類成分効果や注意点
睡眠改善薬・ジフェンヒドラミン塩酸塩覚醒物質であるヒスタミンの作用を妨げ、睡眠を助けます。

抗アレルギー薬としても効果が高く、かゆみなどのアレルギー症状が原因で中途覚醒に悩む方にも効果が期待されます。

長期にわたって服用すると、薬物依存や耐性が生じる可能性があるため注意が必要です。
鎮静成分配合薬・ブロモバレリル尿素
・アリルイソプロピルアセチル尿素
脳の興奮状態を落ち着かせ、睡眠を促します。

コストパフォーマンスは良いですが、長期的に服薬すると依存状態になる恐れがあるため注意が必要です。
漢方薬・酸棗仁湯
・柴胡加竜骨牡蠣湯
・抑肝散
イライラや不安を解消し睡眠を助けます。

副作用が起こりにくく、安心して飲めるのが魅力です。

ただし、即効性は低いため長期的にみながら体質改善を目指しましょう。

症状にあわせて、自分にあった成分が含まれる薬を選びましょう。

ただし、服薬中の薬と副作用や相互作用がないか、購入の前に必ず病院や薬剤師に相談してください。

病気が原因で夜眠れなくなることはありますか?

うつ病や認知症などの精神疾患を持つ方は、体内時計を調節する神経が正しく働かず、睡眠障害を起こしやすい傾向にあります。

また、泌尿器疾患による夜間頻尿や、腰・膝などの痛み、湿疹などのかゆみが気になって入眠障害が起きることもあります。

まとめ:ぐっすり眠ってイキイキとした毎日を!

この記事では、高齢者が不眠になりやすい原因や対策について紹介しました。

「眠れない夜がつらい」とストレスを感じている高齢者の方は少なくありません。
また、睡眠障害は、転倒や生活習慣病のリスクが高まるため、なんとかしたいと考えるご家族や施設の方も多いでしょう。

運動習慣や食生活の見直しなど、まずは手軽に取り入れられる対策から始めてみてください。
不眠対策グッズを取り入れたり、心地よい睡眠環境を整えるのも効果的です。

睡眠時間は、人生の3分の1を占めていると言われています。
いきいきと活動的な毎日を過ごすためにも、ぐっすりと心地のよい睡眠を目指しましょう。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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